アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
上高地トンネル(仮称)の貫通
2015年06月16日上高地トンネル(仮称)の貫通式が行われました。
受付でマスクをいただき、坑内は息苦しいのかな...とドキドキしましたが、集塵機のおかげで、思っていたよりずっと普通で、地下独特のひんやりした空気でした。
マスクは貫通の瞬間用だったみたいです。
坑内には作業に使われていた大きな機械が置いてありました。
中部山岳国立公園で、国の特別名勝・特別天然記念物にも指定されている上高地への入口は、徒歩で登山道を越える以外は、県道上高地公園線を利用するしかありません。
唯一の道路であるこの道は、落石や土石流などにより一時封鎖されるなど、危険な場所もあります。そこで、危険が予見される川沿いの道を、トンネルで回避するバイパス道路の建設計画が動きだし、自然環境への影響調査等が重ねられ、平成26年(2014年)からトンネル工事が開始されました。
全長600m足らずのトンネルですが、地盤にもろい部分があったり、大正池からの発電用水路と交差したり、多くの課題があったと聞きました。
式のなかで、工事関係者からの挨拶に「来年の山の日(新しい祝日・8月11日)の制定記念行事が上高地で行われる際には、このトンネルを通ってもらえると思うと、感慨深い」とあり、いろんな想いがにじみ出ているようでした。
貫通式は開式の言葉で始まり、ギリギリまで掘削が進められた壁(地盤がもろい為補強しながらの掘削だったそうです)に穴を開ける瞬間を参加者全員で見守りました。
トンネルの貫通前後
貫通後は『貫通清めの儀』や『鏡開き』で祝賀し、乾杯(列席者の大半が車利用の為、中はお水です)、『貫通石拾い』、『記念撮影』となりました。
お揃いの法被を身につけての鏡開き
貫通の祝杯と貫通石
記念撮影の様子
トンネルの貫通に立ち会うという、人生で1度あるかないかの貴重な体験をさせていただき、感謝です。
次は無事『開通式』となりますように。