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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

カヤの平高原にはブナ林があります

2015年06月15日
志賀高原 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。6月11日はカヤの平高原(かやのたいらこうげん、長野県木島平村)を歩きました。

カヤの平高原は上信越高原国立公園内にあり、標高はおおよそ1,400から1,750mです。ブナの天然林が見どころの一つです。

車を降りて、傾斜の緩やかな遊歩道を15分ほど歩くだけで、下の写真のような林を散策できます。


<比較的直径の大きい木からなる区域もあります。余談ですが、写っているのは志賀高原自然保護官事務所の瀧口自然保護官です。ブナの大きさの目安にしてください。>


ここで突然ですが、上の写真の中央にある2本のブナの幹に注目してください。

幹の色が途中で急激に変わり、下は白っぽい色、上は深緑色をしています。不思議な現象です。このように色が異なるのはなぜでしょうか。



色が異なる境は、積雪深を表していると言われています。

白っぽい色はブナ本来の幹の色や、幹に着生した地衣類(ちいるい)などによるもので、深緑色はブナの幹に着生している蘚苔類(せんたいるい、いわゆるコケ)などによるものです。(着生とは、他のもの(この場合は幹)にくっついて生活しているということ。)

この現象は、雪に覆われるところでは、雪により、緑色に見える蘚苔類などがはがされて、白っぽい幹本来の色などが見えるようになるために起こると考えられています。雪によってはがれる仕組みは、ネットで調べるといくつかの説明があります。



下の写真は別のブナの幹です。ブナの幹にもともと模様があるように見えるのですが、実際は蘚苔類や地衣類が付いて幹の模様のように見えていることが分かります。この中にはブナ本来の幹の色もあるのですが分かりづらいくらいです。

<地衣類は、大きな区分では菌類に含まれ、からだは菌類と藻類が共生してできています。>


また、下のような花が咲いていました。スミレ以外はどちらかというと初夏の花なので、花の咲いているものは少なかったです。

<左:スミレの仲間、右:ツマトリソウ>


<左:チゴユリ、右:マイヅルソウ>



さて、カヤの平高原の見どころには、ブナ林のほかに「北ドブ湿原」と呼ばれる湿原があります。7月中旬から下旬にはニッコウキスゲが湿原一面を覆うように咲きます。

下の写真にたくさん写っている細長い葉を持つものがニッコウキスゲです。これが咲いたらどんな景色になるのか楽しみです。



また、緩やかな傾斜の散策だけでは物足りない方は、高標山(たかっぴょうやま、こうひょうやま)のトレッキングはいかがでしょうか。カヤの平の中心的な施設、カヤの平総合案内所から高標山山頂まで標高差約300m、コースタイムは上り約90分、下り約60分です。山頂からはほぼ360度の展望があり、視界が良ければ北アルプスを望むことができるそうです。

今回は残念ながら曇りがちの天気で、比較的近くにある山並みさえうっすらとしか見えませんでした。

<高標山山頂から南東方向を望む。岩菅山(左奥)を望むが雲の中で見えない。中央が焼額山(やけびたいやま)、右が竜王山(りゅうおうさん)。>



なお、カヤの平高原の場所、アクセス等は、例えば、木島平村観光協会のページ<http://www.kanko-kijimadaira.com/modules/pico/index.php?content_id=50>をご覧ください。