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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

グリーンシーズンの始まり 白馬連峰開山祭

2015年06月03日
後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

5月30日に長野県白馬村において、白馬連峰のグリーンシーズンの始まりを告げる「第49回 貞逸祭(ていいつさい)・白馬連峰開山祭」が行われました。

出席し、関係する皆様とともに山開きを祝い、今シーズンの山の安全を祈願しました。天気は晴れで、開山祭イベントの参加者は約320名でした。


安全祈願祭の後、猿倉(標高約1,230m)から白馬大雪渓下部の白馬尻(標高約1,550m)までトレッキングを行いました。

<猿倉からの林道はほぼ現れています。今年度は歩道脇の残雪が多く、雪の重みで傾いた幹で道幅が狭くなっている箇所がありました。>


逆に、昨年度と比べて残雪が少ないところもありました。左が今年度、右が昨年度(平成26年5月31日)の写真です。昨年度は残雪の上を歩いていきましたが、今年度は雪が解けているので通常の登山道を歩きました。


また、林道の終点から先、白馬尻までは雪が残っている箇所が多いので、参加者の中にはアイゼンを付けた方もいました。スリップとともに、雪の踏み抜きに対する注意も必要です。

<写真右方向に行きたいが、流れが見えているのでおそらく雪が薄い。そのまま進んだ場合は雪を踏み抜くおそれがある。これを避けるため、いったん上流方向に歩き、十分な積雪のある箇所で沢を越える。>



<トレッキングの折り返し点の白馬尻。白馬岳山頂は雲の中で見えない。>



さて、林道からは「雪形」が見えます。「雪形」とは、山が雪解けを始めた季節に、山肌に残った残雪によってできる模様を何かに見立てたものです。

まずは「代掻き馬」です。雪が解けた岩肌が馬の形に見えます。写真の中央に、頭が左側で躍動感のある馬が見えますか? 代掻きをしている馬の形ではなく、この雪形を、代掻きを始める目安にしたので「代掻き馬」と呼ばれています。(代掻きとは、水田に水を入れ、土と水をかき混ぜてならして、田植えができる状態にする作業です。)


次は「種まき爺さん」と「種まき婆さん」です。これも雪が解けた岩肌が人の形に見えます。

左の写真では、右上の「婆さん」は腰をかがめた様子が分かると思います。しかし、「爺さん」は周りの雪も解けて分からなくなっています。右は5月8日に八方尾根から撮影した写真で、「爺さん」がよく分かります。



花はエンレイソウ、シラネアオイ、ニリンソウ、オオカメノキ、ムラサキヤシオツツジなどが咲いていました。

<左:エンレイソウ、右:シラネアオイ>



グリーンシーズンの始まりとはいえ、標高の高いところではそれなりの低い気温になります。情報収集と自身の安全を高めるための体と装備の準備をしていただき、楽しい登山になるよう努めていただきたいと思います。