アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
★ヨシ原を再生しています。
2015年01月27日藤前干潟に流れ込む庄内川の河口域には、豊かなヨシ原が
広がっています。しかし、堤防の耐震化改修工事によって、
一部のヨシ原が消失し、不連続な群落が見られるように
なりました。工事の際、ヨシの根を含んだ土砂を
元に戻すことで、ヨシ原の再生が図られていますが、
ヨシの再生速度が遅く、藤前干潟の関係者でも
心配のタネとなっています。
【工事でヨシ原が消失した場所】
このような状態を受けて国土交通省庄内川河川事務所では、
堤防改修の際に失われたヨシ原を早期に再生しようと、
埋め立てられたヨシ原に定点を設け、昨年度から継続的に
ヨシの生育状況をモニタリングしています。
【ヨシの再生エリア】 【ヨシの茎高を計測】
これまでの調査結果によると、ヨシの生育状況はあまり良くなく、
現在は冬季のためほとんど成長が見られていないそうです。成長不良の
原因はまだ不明ですが、専門家によると土壌硬度や粒度組成が関係して
いるのではないかと言われています。
【ヨシ原再生エリアを覆う多量の漂着物】
また、観測定点では、流れ着いた流木や枯れ落ちたヨシの破片、
漂着ごみ等が表面を覆っていました。
この状態が続くと土の中に酸素が供給されなくなり、土の中に住む
生きものが住めなくなるだけでなく、ヨシの生育阻害ともなります。
また、これらを放置すると、さらなる漂着ごみが絡みつくこともあり、
幹の直径が30cm以上もある大木も漂着していました。
このような状態を少しでも改善しようと、藤前干潟の関係者が話し合い、
ヨシの生育を促進するためにも漂着物の撤去を行うことになりました。
撤去作業は庄内川を管理する国土交通省庄内川河川事務所が
約1週間かけて実施し、現在はきれいな状態です。
【集められた漂着物】
今回の作業では、ヨシの新芽を踏みつけないために、重機等を使用せず、
全て人力で漂着物を収集・撤去していたため、大変な労力がかかったようです。
また、この場所では外来植物の生育も確認されており、これがヨシの生育を
阻害する可能性もあるため、今後は外来植物の抜根作業も検討されます。
ヨシ群落には、環境浄化作用があり、多様な動物の生育の場としても重要です。
環境省としても、国土交通省等の藤前干潟関係者と協力しつつ、ヨシ原再生の
取り組みに貢献していきます。