中部地方のアイコン

中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

出前授業@成基小学校3回目(秋)

2014年11月11日
志摩
11月4日に志摩市立成基小学校で出前授業をおこないました。
身近な自然の季節変化を調べて「成基小レンジャー」を目指すプログラムの3回目(秋)です。

今回は「どんぐり」にテーマを向けて観察をしました。
どんぐりは日本中にありますが、地域によって種類が違うので、
どんぐりを調べることでその地域を知ることが出来るのです。


はじめに、児童たちが事前に集めたどんぐりを観察し、
外見の特徴を調べて思いつくままに種類分けをしてもらいました。
どんぐりは堅果(どんぐりの本体)と殻斗(ぼうし、はかま、などと呼ばれています)
がセットになっていて、その2つと葉があれば種類を見分けることが出来ます。
どうやら3~4種類くらいのどんぐりがあることがわかったので、
名前を明らかにするために改めて屋外へどんぐりを拾いに行きました。


場所は前回2回と同じ、学校近くの観察ポイントです。
児童たちはどんぐり拾いになれていて、
「シイの実」が生で食べられることもよく知っていました。
他にもフユイチゴの実や、イヌマキの実を見つけて食べていました。


見つけたどんぐりは、検索表を使って種類分けをしました。
ここでは、コナラ、アラカシ、ツブラジイ、クリの4種類が
見つかりました(クリはどんぐりに含めない場合があります)。
また、どんぐりのどこから芽や根が出てくるのか、
どんぐりの仲間の葉の特徴なども観察してもらいました。

成基小学校は志摩市では唯一の山の中にある小学校です。
成基小のどんぐりと、比較的海に近い横山のどんぐりを比較すると、
違いが見られました。
成基小周辺にたくさんあるツブラジイは横山にはほとんどなく、
逆に横山に多いスダジイは成基小にはありません。
スダジイは海岸近くに多く、ツブラジイは内陸部に多いという特徴が表れています。
また、横山にはたくさんあるウバメガシが成基小には少なく、
ウバメガシが海岸近くに多いという特徴が示されているのだと思いました。


どんぐりの木は、実を食料に、材を建材などにして、
昔から人間が利用してきました。
成基小の周辺にはどんぐりの木が多く、昔から人々が大切に利用をしてきた、
とても良い地域であるということがわかります。
また、伊勢志摩国立公園の中でも内陸部に位置する特徴を
どんぐりの種類から見て取れるのも、本来の自然が残る場所ならではだと思いました。

次回は、冬の自然観察になります。
学校の先生方、児童のみなさん、
ありがとうございました。