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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

*石徹白(いとしろ)清掃登山

2014年07月31日
白山
石徹白(いとしろ)清掃登山

7月27日、岐阜県郡上市白鳥町の石徹白地区にて白山清掃登山が開催されたので、参加してきました。毎年石徹白地区の主催で行われており、この日はあいにくの雨でしたが、登山道の清掃と外来植物(オオバコ)の除去を行いました。

石徹白地区は美濃禅定道の重要な拠点で、地域の人々は「白山道刈り」という伝統行事をなんと1000年以上もの間受け継いで来ました。この行事、昔は4、5年に一度順番が回ってきて、人々は奉仕という形で登山道の道刈り作業を行い、道を確保し維持してきたのだそうです。ですが時代の流れと共に過疎化が進み、継続が難しくなりました。そこで現在では「清掃ボランティア」として広く募集を行い、一般参加ができる形になっています。


【参加者全員で記念撮影】


雨の中、大杉を出発しごみを拾いながらずぶ濡れになって神鳩ノ宮避難小屋を目指します。
願いが通じたのでしょうか、避難小屋に着く頃にはちょうど雨があがりました!
ここで外来植物問題についての説明を聞き、除去方法を教わり、参加者で一斉にオオバコ除去を行いました。

なぜ外来植物(オオバコ)を除去するのか?と疑問に思う方も多いと思います。そもそも白山で言う外来植物とは、もともと白山に生育していなかった植物を指し、外国からやって来たわけではありません。日本の道端にはオオバコがよく生えていますが、それら低地性の植物の種子が登山者の靴にくっついて高地まで登ってきてしまうのです。登ってきた外来植物が在来植物との雑種を作ったり、繁殖することで在来植物が追いやられ、白山の景観を変えてしまうおそれがあります。そのため、白山では外来植物対策に力を入れており、今回の除去作業もその一環なのです。


【登山道の種子除去マット】この上で靴の裏をゴシゴシ。外来植物が侵入しないよう掃除します。


【外来植物問題とは?】紙芝居で説明がありました。


外来植物自体に何ら罪は無く、生きているのは同じ・・・。「ごめんね」と思いながら、皆さんせっせと除去作業にあたっていました。ちなみに除去されたオオバコたちは、オオバコ茶として利用されます。このオオバコ茶、意外においしくて体に嬉しい成分が含まれています。


【オオバコ除去中】たくさんあるオオバコをひたすら除去します。


避難小屋での除去活動後、私はパークボランティアさんと共に銚子ヶ峰まで登ってきました。銚子ヶ峰周辺はこれまでの除去活動の成果でしょうか、おかげさまでほとんどオオバコはありませんでした。

石徹白は2回目ですが、今回の清掃登山を通し、改めてこの地域の素晴らしさを感じました。銚子ヶ峰から見える風景の片隅に、地域の人々の歴史が垣間見えたような気がします。


【銚子ヶ峰山頂から】幾重にも連なる山々、素晴らしい景色でした!