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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

夏を乗り切る食材

2014年07月30日
名古屋
 梅雨も明け、夏本番の暑さがやってきました。

 さて、昨日は土用の丑の日でした。皆さんは「ウナギ」を
食べられましたか?ウナギには夏バテの防止や疲労回復などの
効果が得られるそうです。





【藤前干潟で捕獲されたウナギ】

 ウナギは産卵のために、海と川を行き来して暮らしています。
そのため、伊勢湾と庄内川の合流点である藤前干潟でもウナギを
見ることができます。



【釣りを楽しむ人】

夕方になると、ウナギやハゼ類を釣ろうと多くの釣り人が
堤防に集まってきます。



【堤防に残されたごみ】


【堤防に散乱するアケミ貝(イソシジミ)】

 堤防には茶色の平たい二枚貝の貝殻が散在している
ことがよくあります。この貝はアケミ貝(イソシジミ)
という殻幅約5cmの二枚貝で釣り人はこの貝を餌として
使用しているようです。

 貝殻の他に釣り具やコンビニの弁当箱、ペットボトル、
ビン類などのごみも同時に捨てられていることが多く
大変残念です。鳥や人が捨てられた釣り糸や釣り針で
ケガをすることもあります。釣りを楽しんだ後のゴミは
必ず持ち帰りましょう。


【藤前干潟に点在する石倉】

 藤前干潟には、大きな石を干潟の上に積み上げた
石倉が点在します。この石倉は積み上げた石のすき間に
ウナギなどの生きものが満潮時に入り込み、潮が引く前に
周囲を網で取り囲んで中の生きものを捕る漁法です。

 これらの石倉は過去に藤前で石倉漁が行われていた名残ですが
現在は使用されていません。

 藤前地区では、かつて漁業が盛んに行われており、
昔、漁師だった人によるとこの辺りでウナギを
たくさん捕っていたそうです。



【暴れるウナギを食べるカワウ】

 ウナギを食べるのは人だけではありません。
過去にカワウがウナギを水中で捕らえて食べている
光景を藤前干潟で目撃したことがあります。

 ご存じのようにニホンウナギは、2013年2月に環境省の
レッドリストで絶滅危惧IB類(近い将来、野生での絶滅の
危険性が高い)に指定されました。そして、今年6月には
国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでも絶滅危惧IB類
(絶滅危惧種の中で2番目に高い「近い将来における野生での
絶滅の危険性が高い種」)に指定されました。減少の要因としては
乱獲や生息地の破壊、河川構造物の建設による海と川の分断などが
考えられています。

鳥も人も大好きなウナギがいつまでも生息できるような
環境であって欲しいです。