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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

志賀高原ユネスコエコパーク

2014年06月16日
志賀高原

こんにちは、志賀高原からです。

「志賀高原ユネスコエコパーク」の拡張登録が、6月12日のユネスコ(UNESCO)の人間と生物圏(MAB)計画国際調整理事会で決定されました。(当省の報道発表資料のページ

この結果、山ノ内町では岩菅山周辺を除く全地域、高山村では全村域が志賀高原ユネスコエコパークとなりました(地図は報道発表資料の添付ファイルをご覧ください)。
なお、ユネスコエコパークについては、この記事の末尾にリンク及び簡単な説明があります。


さて、今回紹介する「おたの申す平」は、この志賀高原ユネスコエコパークの核心地域(自然環境の厳格な保護を目的とした地域)にあります。また、国立公園の特別保護地区にも指定されています。

「おたの申す平」の特徴は「溶岩台地に生じた亜高山帯針葉樹林の原生林」です。

<亜高山帯針葉樹林。右下に見える白いのは残雪。>


<6月11日はシャクナゲが見ごろでした。その下の石が溶岩。これは、たまたま地表に見えていますが、地中にもこのような岩の集まりがあるのでしょう。>


<このようにたくさんの幹を分けた株も見られます。なぜ、こうなったのでしょう。答え(仮説)は現地の解説板でどうぞ。でも、急ぎ知りたい方のため末尾に解説板の写真を載せます。>


「おたの申す平」の一部である「まが玉の丘」へは、入口となる信州大学志賀自然教育園(正式名称は信州大学教育学部附属志賀自然教育研究施設)から自然観察路が整備されています。自然観察路の所々に解説板があるので自然の営みをより深く知ることができます。
ただし、この観察路には急な階段や傾斜のある木道など足元に注意を要する箇所があります。また、今の時期は雪解けと雨により、ぬかるんだ箇所があります。



<この木道はどうして設置されたのでしょう? 私は、この辺りが湿地状であったためと推測しました。というのも、木道脇のササを刈ったところにミズバショウの花が咲いているためです。
しかし、現在はササが繁茂しています。設置後、長くても数十年のうちに植生が変化してしまうことを面白いと思いました。湿地の乾燥化が進んでササが生え、さらに乾燥化が進んだと考えられます。
ササを刈る前でもササの下でミズバショウが咲いていたのか、ササを刈ったからミズバショウが咲いたのか、知りたいと思いました。>



ユネスコエコパークについてのより詳細な説明は文部科学省のページ
にありますが、下に簡単に説明します。

※ユネスコエコパークとは
ユネスコ(UNESCO:国連教育科学文化機関)が、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目指して進める「MAB(Man and Biosphere:人間と生物圏)」計画の中心事業である生物圏保存地域(BR:Biosphere Reserves)のこと。
日本国内ではBRにより親しみを持ってもらうため"ユネスコエコパーク"と呼ばれています。
なお、ユネスコエコパークの日本の登録件数はこれまで志賀高原の他、「白山」、「大台ケ原・大峰山」、「屋久島」及び「綾」の5件でしたが、今回の会議で「只見」(福島県)及び「南アルプス」(山梨県、長野県、静岡県)の新規登録が決定され、7件になりました。
参考までに、同じユネスコの世界遺産は「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」に基づくもので、手つかずの自然を守ることを原則としています。


※志賀高原ユネスコエコパークの拡張申請について
「志賀高原」は1980(昭和55)年にユネスコエコパークに登録されました。
その後、1995(平成7)年にユネスコエコパークの機能として、「経済と社会の発展」が追加されたため、その機能を果たす移行地域の追加設定が求められました。そこで今回、移行地域の設定を含めて拡張申請が行われました。
関係する自治体は、長野県山ノ内町、高山村、群馬県中之条町、嬬恋村、草津町です。


※たくさんの幹を分けた株のでき方(現地の解説板の内容)

<まだ環境庁のままです。直します。2001(平成13年)1月に改組し「環境省」となっています。>