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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

夏山シーズンの始まり

2014年06月06日
後立山
こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区からです。

5月31日と6月1日は、夏山シーズンの始まりを告げる2つの催しに参加し、関係する皆様とともに今シーズンの山の安全を祈願しました。
5月31日(土)白馬村で第48回貞逸祭(ていいつさい)・白馬連峰開山祭
6月1日(日)大町市で第57回針ノ木岳慎太郎祭(はりのきだけしんたろうさい)
2日間とも晴れで、一般の方もたくさん参加されました。


第48回貞逸祭・白馬連峰開山祭では、安全祈願祭の後、猿倉(さるくら)から白馬尻(はくばじり)までのトレッキングが行われました。白馬尻から少し上った所が、夏季に白馬大雪渓に取り付く場所になります。
トレッキングでは、例年はルートの途中から、白馬大雪渓へと続く雪の残る沢を歩いて白馬尻に向かうのですが、今年は平年より1~2m雪が少ないとのことで、ほとんどの班が雪の残る夏道(積雪期ではない時期の登山道)をたどって白馬尻に向かいました。


<私たちの班は雪の残る沢を歩いて白馬尻に向かいました。奥の山が白馬岳(しろうまだけ)。>


<左は昨年度の貞逸祭(平成25年5月25日)で撮影した写真です。中央の雪が周りより白い所は除雪作業中で、さらに掘っていくと、そこには山小屋(冬期は解体)があります。
ところが、右が今年度の写真で、既に山小屋の基礎が見えています。昨年度より6日遅いとはいえ、雪が少ないことを感じました。>


第57回針ノ木岳慎太郎祭では、神事の後、針ノ木峠までの記念登山が行われました。
神事の行われた標高約1,800mから針ノ木峠(標高約2,540m)まで針ノ木大雪渓を上っていきます。私が上りに要した時間は約2時間でしたが、これは個人の技量、体力により変わります。たいていの人がアイゼンを付け、ストックを持っていました。

途中には急傾斜の場所もあり、見上げると下の写真のように見えます。

<針ノ木峠直下の急傾斜。最も低くなったところが峠。雪庇(せっぴ)の残りが見えるので稜線が近いことが分かります。>


<針ノ木峠から北側を望みます。中央一番奥が白馬岳など。右奥が鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)。手前の稜線は鳴沢岳(なるさわだけ)から岩小屋沢岳(いわこやさわだけ)付近。利用者のいる雪のある谷が針ノ木大雪渓で、下っていくと扇沢に着きます。>

この2日間で、日本三大雪渓と呼ばれているうちの2つを歩いたことになりました。ちなみに、日本三大雪渓残りの1つは剱沢雪渓(富山県立山町)です。


さて、夏山シーズンの始まりとはいえ、標高の高いところでは、まだ雪が降る可能性があるため、冬山に近い登山の準備が必要です。また、開いていない山小屋もあります。自身の安全を高めるための準備や情報収集をしていただき、楽しい登山になるよう努めていただきたいと思います。


「お知らせ」
①「中部山岳国立公園80周年」
中部山岳国立公園は1934(昭和9)年12月4日に指定されました。今年、80周年の節目の年です。

②「信州 山の日」
長野県では、今年度から「7月第4日曜日」が「信州 山の日」に制定されました。今年は7月27日です。

③国民の祝日「山の日」
2016(平成28)年から8月11日が国民の祝日の一つである「山の日」となります。山の日の趣旨は「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」です。
(経緯)
・5月23日に「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」が参議院本会議で賛成多数で可決されました。
・「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第43号)」が5月30日に公布され、「国民の祝日」として新たに「山の日」が設けられることになりました。この改正は平成28年1月1日から施行されます。