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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

最後の日記

2014年03月31日
白山
こんにちは。
白山ARの世良です。3月で白山ARを卒業することとなり、今回の日記が最後になります。
白山という国立公園の管理について学ぶ3年と2か月でした。

代々、白山ARは地元の方が勤めていましたが、私は白山AR史上初めての「よそ者」です。着任時に、ある人にそんなことを言われました。
それを聞いて、「なんて閉鎖的なところ!」と思いましたが、その「よそ者」の意味をを良くとるか、悪くとるかは自分次第で、私の場合、それは私の強みだと思いました。

白山登山者は地元の人が非常に多く、別当出合駐車場は地元ナンバーが多数を占められていました。夏の山上で会う地元の登山者と話していると「ようこそ白山へ」と迎え入れてくれ、地域のみなさんは右も左も知らない私にとても優しく、色々と教えてくださり、私もその優しさにスッとなじむことができました。はじめは自然を見るために白山に行くことが多かったのですが、そのうち、暇な休日には知らない人と話をしに山に行くようになりました。昔から人がよく登っていたと聞きますが、時代は変わっても、地元の人の愛に溢れた山であることを感じました。山が愛され、国立公園の自然が地元の人の手によって守られている姿を見てとても感銘を受けました。そして居心地の良さをとても感じるようになりました。

【地元の方も優しい】

ただ、今でもあの時感じた「閉鎖性」を地域に感じないかというと嘘になります。その「閉鎖性」は悪い意味で捉えがちかもしれません。しかし、その「閉鎖性」があったがゆえに、国立公園内でスキー場の様な大きな開発などをさせなかったことなど、公園内の自然が守ってこられ、その自然を愛する地元の人が非常に多く訪れています。このような地域をとても大事にする白山麓の人々のアイデンティティは、東京の渋谷で育った私の持たぬものだと思いました。また同時に、私の持つ「よそ者」のアイデンティティはみなさんにもないものだとも思いました。

白山自然保護官事務所を退職し、金沢で環境関連の仕事をします。まだ、白山に来て3年。今まで郷に入ったら郷に従うものと思っており、これから私は益々地域に染まっていくと思いますが、自分の育った環境を誇りに思い、「よそ者」のアイデンティティが白山や地域のために一役買うものだと信じ、それを大切に持っていたいと強く思います。

今まで関わってくださった関係者の皆様並びにAR日記を読んでくださったみなさん、本当にありありがとうございました。
後任は小島さんという白山AR史上初の女性ARです。
後任、白山自然保護官事務所をこれからもよろしくお願いします。

また白山で私を見かけたら声をかけてください。
「ようこそ白山へ」という言葉でみなさんを迎えたいと思います。

【また白山で!】