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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

雪形(ゆきがた)

2013年05月23日
後立山
こんにちは、北アルプス後立山地区からです。
まず、残雪の白馬三山です。左から白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)、杓子岳(しゃくしだけ)、白馬岳と3つのピークがあり、これらを白馬三山と呼びます。手前は八方尾根で、麓では田植えの準備をしています。



さて、「雪形」は、里が新緑を迎え、山が雪解けを始めた季節に、山肌に残った残雪によってできる模様を何かに見立てたものです。昔の農民たちは雪形を農作業の目安にしていたと言われています。

紹介する雪形の一つ目は、上の写真の白馬岳から北東へ続く、小蓮華山から乗鞍岳(白馬乗鞍岳)にかけての斜面で見られるものです。ここでは、いくつかの雪形を見ることができます。


左から「代かき馬」、「種まき爺さん、婆さん」、「種まき爺さん」、「仔馬」です。このうち、「代かき馬」は有名な雪形の一つだと思います。代かきを行なう時期の目安にしていたと言われています(代かきとは田植えの準備作業の一つです)。また、「仔馬」も同じように代かきの目安にしていたそうです。

次の雪形は「武田菱」です。場所は五竜岳(ごりゅうだけ)の頂上直下です。「武田菱」は、かつてこの地を支配した戦国時代の武将、武田信玄の紋所「四つ割菱」そっくりなため、その名が付いています。


写真では中央の一番高いピーク直下の岩壁に4つの菱型がはっきりと見えます。


この日は、関係する行政機関や地元の方とともに、白馬村の天然記念物であるギフチョウとヒメギフチョウの発生状況の確認と、利用者指導を行いました。地元の方のこのような活動が結果として国立公園の自然の維持につながっているので、ありがたいことだと感じます。

途中、標高950m付近にまだ残雪がありました。写真中央右側のスギの落葉落枝の下に白く見えるのが残雪です。



残雪近くで見られたカタクリです。消雪の時期が遅い分、カタクリの開花も遅くなったようです。



25日(土曜日)は白馬村の猿倉において貞逸祭・白馬連峰開山祭の開催が予定され、夏山の山開きを祝い、山の安全を祈願します。
開山祭のシーズンとはいえ、山の上は気象状況によってはまだ冬山の装備が必要となります。登山する皆さんは、自分の経験や技術、体力等に合わせたコースを選定し、無理のない日程で計画するなど、準備をしっかりしてお越しください。また、現地でも気を付けて行動してください。