アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
生物に影響を与えるゴミは藤前干潟にどれだけあるの?
2013年01月31日
名古屋
藤前干潟では、不法投棄や漂着ゴミが数多く見られていることは、
これまでにご紹介してきました。藤前干潟に関わる団体や個人が
協力して清掃活動を行う「藤前干潟クリーン大作戦」は年に2回
実施されますが、全ての区域のゴミを回収することはできず、
活動実施後に一時的にきれいな状態になるものの、時間が経てば
再びゴミが漂着して元通りの状態になります。
これらのゴミは、藤前干潟周辺の景観を損なうだけでなく、
鳥類がロープや釣り糸などに絡まり、また微細ゴミをエサと
間違って食べてしまうなど、干潟を利用する生き物に悪影響を及ぼします。
【鳥が誤飲する微細プラスティック】【シート状ゴミはカニの巣穴掘りを妨げる】
そこで中部地方環境事務所は、藤前干潟における
生物に影響を与えるゴミを回収することをベースとして、どこに
どのような種類のゴミがどれだけ存在しているのか把握するために、
事業者に業務を委託して、ゴミ清掃調査を昨年8月頃から
毎月4~5回程度実施しています。
水域内のゴミ分布状況を把握して、散在するゴミを撤去する
ことによって野鳥への被害を減らし、また、エサとなる
底生生物の生息地を確保するためにも重要な業務です。
調査対象地は、藤前干潟鳥獣保護区内の
藤前地区、新川地区、中堤地区、庄内川地区で、
1回の作業につき5~6名の作業員が各調査区域で調査しています。
【調査範囲の選定】
調査の内容は、各調査区域にて決められた範囲内(100㎡)の
ゴミを回収し、その中で鳥獣の生息や自然観察会に影響を与えるような
ゴミ(釣り糸、釣り針、微細ゴミ、シート状のゴミ、ガラス片など)と
その他のゴミに大きく分類します。
発泡スチロールやプラスティック等の細かい破片は、
鳥類が餌と間違って食べてしまう可能性があり、釣り針や糸は
鳥の体に絡まる心配があります。ビニールシートなどのシート状の
ゴミは干潟上を覆って泥の状態を悪くする上に、カニやゴカイ等が
巣穴を掘れなくなってしまいます。これらのゴミは「生物に影響を与える
ゴミ」に、それ以外のゴミは「その他のゴミ」として分類します。
【回収したゴミを分類します】
【分類別に重量を計測】
回収作業範囲内の任意の場所に1×1m(1㎡)の方形枠を1カ所設置して、
枠内の「生物に影響するゴミ」と「その他のゴミ」を分類計数し、
回収したゴミはそれぞれ重量を計測します。
プラスティックゴミは自然分解されないので、土に戻らず
いつまで経ってもその場所に存在し続け、波や強い紫外線の影響で
劣化が進み、細かく砕けて回収が困難となります。
この小さなプラスティック片の量も把握するために、労力が必要ですが
全て回収します。
ヨシ原付近の調査地点では、落葉したヨシくずが多く堆積しており、
表面にはゴミは見られず、きれいサッパリしていますが、下に掘り進んでいくと
ザクザクとゴミが湧いてきます。また、細かいゴミほど底に堆積しており、
ゴミとヨシが層構造になっている場所も見受けられます。
【1㎡枠内調査の様子】
各地点のデータを蓄積して分析すると、場所によってゴミの
分布特性が異なることが分かり、調査範囲全体にペットボトルや
発泡スチロールが優占している場所や直径5mm以下の微細な
レジンペレットが多く堆積している場所、ほとんどゴミが見られない場所など様々です。
調査員は作業中に「前回の場所よりもペットッボトルが多いぁ」
「今日は古いゴミばかりや」「この場所は釣り具がようけ落ちとるで
釣りスポットになっとるんやろか」と気づいた事を口々に話して、
調査を重ねると各調査地点の特徴に気づいている様子でした。
【作業風景】
このように、藤前干潟水域におけるゴミの分布特性が徐々に
明らかとなってきましたので、藤前干潟には生物に影響を与える
ゴミが一体どれだけ散在しているのか、3月末のゴミ清掃業務が
終了次第、AR日記でお伝えしたいと思います。
これまでにご紹介してきました。藤前干潟に関わる団体や個人が
協力して清掃活動を行う「藤前干潟クリーン大作戦」は年に2回
実施されますが、全ての区域のゴミを回収することはできず、
活動実施後に一時的にきれいな状態になるものの、時間が経てば
再びゴミが漂着して元通りの状態になります。
これらのゴミは、藤前干潟周辺の景観を損なうだけでなく、
鳥類がロープや釣り糸などに絡まり、また微細ゴミをエサと
間違って食べてしまうなど、干潟を利用する生き物に悪影響を及ぼします。
【鳥が誤飲する微細プラスティック】【シート状ゴミはカニの巣穴掘りを妨げる】
そこで中部地方環境事務所は、藤前干潟における
生物に影響を与えるゴミを回収することをベースとして、どこに
どのような種類のゴミがどれだけ存在しているのか把握するために、
事業者に業務を委託して、ゴミ清掃調査を昨年8月頃から
毎月4~5回程度実施しています。
水域内のゴミ分布状況を把握して、散在するゴミを撤去する
ことによって野鳥への被害を減らし、また、エサとなる
底生生物の生息地を確保するためにも重要な業務です。
調査対象地は、藤前干潟鳥獣保護区内の
藤前地区、新川地区、中堤地区、庄内川地区で、
1回の作業につき5~6名の作業員が各調査区域で調査しています。
【調査範囲の選定】
調査の内容は、各調査区域にて決められた範囲内(100㎡)の
ゴミを回収し、その中で鳥獣の生息や自然観察会に影響を与えるような
ゴミ(釣り糸、釣り針、微細ゴミ、シート状のゴミ、ガラス片など)と
その他のゴミに大きく分類します。
発泡スチロールやプラスティック等の細かい破片は、
鳥類が餌と間違って食べてしまう可能性があり、釣り針や糸は
鳥の体に絡まる心配があります。ビニールシートなどのシート状の
ゴミは干潟上を覆って泥の状態を悪くする上に、カニやゴカイ等が
巣穴を掘れなくなってしまいます。これらのゴミは「生物に影響を与える
ゴミ」に、それ以外のゴミは「その他のゴミ」として分類します。
【回収したゴミを分類します】
【分類別に重量を計測】
回収作業範囲内の任意の場所に1×1m(1㎡)の方形枠を1カ所設置して、
枠内の「生物に影響するゴミ」と「その他のゴミ」を分類計数し、
回収したゴミはそれぞれ重量を計測します。
プラスティックゴミは自然分解されないので、土に戻らず
いつまで経ってもその場所に存在し続け、波や強い紫外線の影響で
劣化が進み、細かく砕けて回収が困難となります。
この小さなプラスティック片の量も把握するために、労力が必要ですが
全て回収します。
ヨシ原付近の調査地点では、落葉したヨシくずが多く堆積しており、
表面にはゴミは見られず、きれいサッパリしていますが、下に掘り進んでいくと
ザクザクとゴミが湧いてきます。また、細かいゴミほど底に堆積しており、
ゴミとヨシが層構造になっている場所も見受けられます。
【1㎡枠内調査の様子】
各地点のデータを蓄積して分析すると、場所によってゴミの
分布特性が異なることが分かり、調査範囲全体にペットボトルや
発泡スチロールが優占している場所や直径5mm以下の微細な
レジンペレットが多く堆積している場所、ほとんどゴミが見られない場所など様々です。
調査員は作業中に「前回の場所よりもペットッボトルが多いぁ」
「今日は古いゴミばかりや」「この場所は釣り具がようけ落ちとるで
釣りスポットになっとるんやろか」と気づいた事を口々に話して、
調査を重ねると各調査地点の特徴に気づいている様子でした。
【作業風景】
このように、藤前干潟水域におけるゴミの分布特性が徐々に
明らかとなってきましたので、藤前干潟には生物に影響を与える
ゴミが一体どれだけ散在しているのか、3月末のゴミ清掃業務が
終了次第、AR日記でお伝えしたいと思います。