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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

センターのウッドデッキの柱に住み着く生命

2012年09月26日
名古屋
 先日、稲永ビジターセンターのウッドデッキの塗装が完了しました。
ウッドデッキの状態を確認する為にウッドデッキ周辺を見て回っていると、木製の化粧柱の根元部分に何やら直径5mmほどの穴がポツポツ空いていることに気づきました。




【何者かが住み着くウッドデッキの柱】

 何が住んでいるのか観察していると、穴の中から黒い体の体長約2cmのハチが姿を現しました。捕らえて種を調べてみると、恐らく「タイワンタケクマバチハキリバチの仲間」であることが分かりました。






【捕らえられたタイワンタケクマバチハキリバチの仲間の外部形態】

 このハチはタイワンタケクマバチとしてご紹介しましたが、後日、クマバチの研究者の方からハキリバチの仲間ではないかとご連絡がありました。(10/11追記)

 タイワンタケクマバチは外来種で、豊田市で2006年頃に初確認されており、国内では愛知県と岐阜県で生息が確認されているようです。竹材に混入して中国・台湾から侵入したと考えられており、在来種と競合して生態系に影響を与えるとされています。
 ハキリバチの仲間の顔をよく観察すると口に大きなキバを持っており、これで巣を作る習性があるようです。木の柱に穴を空けた犯人がこのハチかどうか分かりませんが、柱付近で観察していると我々の周囲をグルグル旋回した後に、柱に空いた穴にハチが出入りするのを目撃したので、どうやらこの穴を利用しているようです。



【穴が空けられたウッドデッキの柱】

 他の柱にも穴が空いていたので探ってみると、柱の穴から何やら黒い物質が飛び出ていることに気づきました。近づいてよく見てみるとオサムシの仲間が顔をひょっこり出しているではありませんか!頭部を触っても体をウネウネさせるだけで全く出てくる気配はありません。どうやら木に空いた穴の中から出ようとしたが途中で体が挟まってしまい、さらに木が乾燥して堅く締まり、身動きがとれない状態となっているようでした。助けてほしそうな顔をしていたので、指で優しく押したり引いたりしましたが、体が完全に詰まっており、救出することが出来ませんでした。翌日、確認してみるとオサムシの姿は無かったので、自力で脱出したのでしょうか?



【気の毒なオサムシ】

 この柱は長年、潮風や雨に打たれて大変お疲れの様子で、ひび割れや溝が発生している箇所が多数見られ、ゲジゲジやムカデ、フナムシなど、多様な生物が利用していることが分かりました。いろんな生き物が住み着くことは良いことですが、この柱に住んでいるのは毒を持つものや刺す虫などが多いので、ウッドデッキ周辺で作業する際や来館者の方が被害に遭わないように、注意を呼びかけたいです。