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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

外来植物除去作業 白山・赤兎山

2012年08月21日
白山
こんにちは。
白峰は昨日に続き本日も快晴です。
先週末は3日連続で山を登ったり下りたりしていましたが、天候には恵まれず、18日に至っては急な土砂降りにレインウェアを着る間もなくずぶ濡れとなり、更にはヒョウにも降られました。
落雷も多く、自然の厳しさにただただ登山道を歩くだけのちっぽけな私の姿があり、人間の小ささを感じました。

さて、山上へは人間の小ささを感じに行っていただけではありません。
18日は、外来植物除去のボランティア登録している人たちで甚之助避難小屋~南竜山荘(石川県白山市)までの間の道で、19日には一般参加の方も交え、赤兎山(福井県勝山市)で白山における外来植物であるオオバコの除去作業を行ってきました。

【作業中@赤兎山】

外来生物というのは決して外国から来たものだけを指すのではなく、もともとその地に無いものが人間の力によって運ばれたものも指します。
皆さんの家の側にもオオバコが沢山あるように、オオバコは低地性(麓)の植物なのです。

山上に絨毯のごとく咲き並ぶキレイなオオバコの畑の中で、黙々と作業を続けていると、どうしても「このやろー」と力が入ってしまいます。
オオバコはただ自然の摂理に従って、子孫を残しているだけなので、本来ごめんね!と気持ちを込めて抜いてあげるべきだと思うのですが・・。

ではオオバコは何故山上へと分布を拡げているのでしょうか?
勝手に登山して行く?
オオバコの種が空を舞う?

実は私達の靴の裏などに付着し、一緒に登山をしています。
また、山上で避難小屋などを建てる資材などに付着して登って行くケースも見られます。

山上にはハクサンオオバコという高山植物があり、交雑してしまっている例も確認されています。
人間が知らず知らずのうちに持ち込んだ外来植物によって、白山の生態系を崩してしまう恐れがあります。
数百年、数千年、数万年と培ってきた神秘的な白山の生態系や景観を、たかだか数十年でその生態系や美しい景色などを崩してしまう、自然に対して影響力の大きな大きな人間の姿があるのです。

【手前に2本ビョーンと伸びているのがオオバコの花です。奧から大きな人間の姿が!!】

「地球はいずれ温暖化していくのだから・・」と地球温暖化を傍観する意見があるように、「外から入ってくる生きものはいずれ入って来るだろう」「人間という手段を使って分布を拡げている」などの意見もあるかもしれません。
個人的にはその考えは間違いとは思いません。
ただ、人間の活動が加わることによって生態系の破壊や温暖化もそうですが、そのスピードは何倍何百倍にもなってしまいます。

実際に今回の活動を通して、果てしないこの作業にうんざりしている方もいるかもしれません。
ただ、山上にこれだけの外来植物が繁茂している現状を体で実感し、私達人間が自然と共生していく中で、人間が自然に対してどのような態度を取っていくべきなのか?等、自然に対しての思いやりの気持ちについて少しでも考えてもらえたらと思います。

【美しい白山をいつまでも】