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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

暖かくなり生き物たちが動き始めました。

2012年05月14日
名古屋
 5月に入って暖かくなり、稲永公園内の木々も新緑が芽生えてきました。いよいよ生き物達が元気に活動を開始する季節が到来した感じがします。
 大潮の干潮時に稲永公園前の藤前干潟を覗くと、広大な干潟が出現していたので巡視に併せて干潟の生き物を観察しました。


【永徳スリップ前干潟から名港トリトンを望む(左) 永徳スリップ方面(右)】

 先月までは肌寒く、干潟の生き物達もまだ眠りから覚めた直後で動きが鈍い状態でしたが、気温の上昇に伴い活発に地表で活動するようになりました。軟泥質の場所ではヤマトオサガニが盛んに採餌し、転石の下ではタカノケフサイソガニやゴカイ類が多く見られ、ヨシ原前面の砂泥質ではチゴガニ群がWaving行動(はさみを上下に動かす動作)を示していました。この日は転石の下で大型のハサミシャコエビやアリアケモドキが、沈水流木の周辺ではエビジャコ、ヨウジウオ等が確認されました。堤防護岸ではカクベンケイガニが走り回っており、岩盤の割れ目に素早く隠れる様子が観察されました。
 永徳スリップに生育するヨシ原は先月までは枯れているような姿でしたが、全体的に背丈が高くなり小さな芽も地面から次々に生え元気が出てきたような感じです。



【転石下で見つかったハサミシャコエビ(左)とアリアケモドキ(中)、護岸を駆け巡るカクベンケイガニ(右)】



【流木周辺の潮だまりで見つかったエビジャコ(左)とヨウジウオ(右)】

 稲永ビジターセンター前の藤前干潟には今年もコアジサシがやってきました。この鳥は、群れで行動することが多く、ダイビングして魚を捕ることができますが、深くは潜れないようです。繁殖期は5~7月、海岸や埋め立て地、河原の砂利地で繁殖活動をします。藤前干潟周辺では、彼らの繁殖地となる砂利地が少ないので繁殖できる場所は限られています。



【飛翔中のコアジサシ】

 都市部に残されたこの藤前干潟にこれほど多くの生き物たちが住んでいるとは驚きです。干潟で多様な底生生物に出会えたのは今シーズン初めてでしたので興奮してしまいました。
 このように稲永公園周辺は暖かくなり多くの生き物で賑わってきましたので、是非観察に来て下さい。

観察会のご案内です。
5月27日(日)にNPO法人藤前干潟を守る会と中部地方環境事務所の共催イベントとして、「ヨシはらをあそぼう!」を開催します。ヨシとはどのような植物なのか?ヨシ原の中にはどのような生き物が住んでいるのか?そ~っとのぞいてみましょう!

観察会の詳細は以下の通りです。
ご応募お待ちしております!!
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◆ヨシはらをあそぼう!◆
開催日時:5月27日(日)13:30~15:30
定員:20名(申込先着順)
対象:幼児~大人 (ただし、小学校3年生未満は保護者同伴)
開催場所:稲永ビジターセンター(名古屋市港区野跡4-11-2)
参加費:大人200円、小学生100円、幼児無料
持ち物:水筒、タオル、着替え、帽子、汚れてよい服装・靴 

申込・問い合わせ先:稲永ビジターセンター(TEL:052-389-5821)
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