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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

子どもパークレンジャー

2012年03月22日
妙高
 少し前ですが、3月4日の日曜日、国立妙高青少年自然の家を会場として、環境省長野自然環境事務所主催(担当:妙高高原自然保護官事務所)の「体感!!子どもパークレンジャー事業」を開催しました。

 この「子どもパークレンジャー事業」は、国立公園等の自然を守る自然保護官の仕事体験や自然観察を通じて、自然への関心を持ってもらうとともに豊かな人間性を育むことを目的に、環境省が全国各地で開催している子ども向けの自然体験プログラムです。

 今回は「豪雪の冬を生きる鳥、昆虫、哺乳類、樹木を見に行こう!」と題し、妙高高原の厳しい冬をたくましく生きぬく生き物たちを青少年自然の家周辺で実際に探して、ふれて、調べてみるという内容です。

 小学校4年生から中学校1年生までの19人の応募者の皆さんに、国際自然環境アウトドア専門学校の先生を講師として1名、運営スタッフ7名、長野自然環境事務所から自然保護官2名、アクティブ・レンジャー1名の合計11名の体制で対応させて頂きました。

 まず、「自然の家」内の学習室で、講師、スタッフ、スケジュール紹介の後、自然保護官から事業の説明と子どもパークレンジャーの任命式をとり行いました。




 自然保護官からひとりひとりに直接子どもパークレンジャー・グッズを手渡し、引き締まった雰囲気の中、いよいよ、実際に子どもパークレンジャーとしての活動がスタートします。

 快晴の空の下、スノーシュー(西洋かんじき)を身につけ、スタッフ・リーダーの先導で5班に分かれて自然の家周辺の生き物たちを実際に調べに出かけました。
 子ども達はスノーシューにもすぐ慣れて、ウサギの足跡を写真に納めたあと食痕や糞を探したり、ホオノキの大きな冬芽を探したり、生き物とその痕跡を探しながら雪原を元気よく移動します。
 朽ち木を見つけると、樹皮下で越冬する昆虫を探すため、そっと表皮を剥がしてみます。




 「おぉ~これは生き物が隠れていそうな朽ち木だぞ~」
講師の先生に手伝ってもらったり、スタッフ・リーダーに教えてもらったりしながら、樹皮の下に隠れている生き物たちもケースに集めて午前の活動が終わりました。

 昼食後、今度は学習室で集めてきたものを顕微鏡で拡大して細かい特徴を観察し、リーダーと一緒にその様子を記録していきます。




 子ども達は真剣そのもの。
 ホオノキの冬芽は一枚一枚剥がして産毛などの状態を、ウサギの糞はばらばらにほぐして冬に食べているものを、セッケイカワゲラやクモなどはそのままシャーレに移して観察しましたが、今まで見たこともない世界に子ども達の多くが夢中になっている様子でした。

 先生にウサギの糞のにおいを聞かれて、何人かの子どもパークレジャーがほぼ同時に、
「抹茶みたいなニオイ!」
と答えます。こんなことも実際に体験してみないとわからないことの一つです。

 先生からみんなが撮影した動物の足跡などの写真を解説してもらって、五感をフルに使ったこの楽しい調査活動もあっという間に終了の時間。
 最後に自然保護官をはじめとしたスタッフ全員が今日の活動について一言ずつ感想を発表し、すべての活動が終了しました。

 スタッフの言葉の中にもあったように、この事業を通じて一人でも多くの子ども達に、厳しい冬を生き抜く生き物たちの暮らしを学んでもらい、そこから豊かな自然のすばらしさや不思議さ、生物の多様性を感じ取ってもらうことで自然への興味関心や環境保全の重要性をより強く意識してもらえたらと強く願っております。

 今後も環境省長野自然環境事務所では様々な業務や事業を通して、子ども達だけで無く多くの方々に自然を体感して頂く機会を提供し、生物多様性の重要性をお伝えしていきたいと考えております。
 長野自然環境事務所で行われている各種のイベント情報につきましては、下記ホームページのトピックスをご覧ください。

「環境省長野自然環境事務所ホームページ」
https://chubu.env.go.jp/nagano/