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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

竈方(かまがた)集落をめぐるみち

2011年11月25日
志摩
11月24日(木)、パークボランティアのみなさんと、近畿自然歩道に指定されている南伊勢町の「竈方集落をめぐるみち(NO.22)」を調査しました。距離が長いため、今日は紹介されているコースの半分、小方竈(おがたがま)から南島庁舎がある神前(かみさき)浦までを歩きました。

また今回は、地元の仙宮(せんぐう)神社の宮司である加藤實さんが同行してくださいました。


【地域の歴史、文化・・・何でもご存じです。】

「竈方」の「竈」とは、塩を焼く竈のこと。
この地域は、昔平家の落人たちが切り開いた集落と言われており、落人たちが塩を作って生計を立てていたことに由来しています。
安政元年(1854)の津波で流され今は廃村となってしまった「赤崎竈」を入れて、「新桑竈(さらくわがま)」「棚橋竈(たなはしがま)」「栃木釜(とちぎがま)」「小方竈(おがたがま)」「大方竈(おおがたがま)」「道行竈(みちゆくがま)」「相賀竈(おおかがま)・・・※現在は相賀浦(おおかうら)」で、「八ヶ竈(はちががま)」と呼ばれています。


【弁天島(べんてんじま)】
貴重な暖地性植物群落があることから、特別保護地区に指定されています。
漁師を始め、地元の方々からも「神さんの島」として大切にされ、昔から、神様にお仕えする特別な人しか上陸を許されなかったそうです。そんな弁天島も、近年はアオサギのコロニーとなっており、フン害により、島の自然も姿を変えてきています。
左奥に見えている島は、同じく特別保護地区の「見江島(みえじま)」です。


【センブリ(リンドウ科センブリ属)】
ひっそり咲いているのを見つけました。星形の控えめでかわいらしい花です。
花びらに、紫のはっきりとした縦縞が入り、中央に白い毛が生えているのが特徴です。


【渡りをするチョウ「アサギマダラ」】
アサギマダラに出会いました。長旅を経て、羽がボロボロになっていました。
花の蜜を吸って、今後の旅に向けエネルギー充電中です。


シカの食害でしょうか?皮がはがされたような木がところどころで見られました。


【写真撮影会♪】
ところどころ展望が開け、地元の方がご厚意で作ってくださったというベンチが置いてあります。どのポイントからも、神前(かみさき)湾を臨むことができ、本当に素晴らしい景色です。
神前浦に向かって歩くほどに、弁天島が大きく迫って見えてきます。空気が冷たく澄んで、快晴だった今日は、ブルーハワイのような海の青色がさらに美しく、日の光に照らされてキラキラ輝く様子は、時間を忘れてしまうような光景でした。





絶景から少し視線を下げると、地面が見えないほどゴミに覆い尽くされた箇所がありました。歩道の清掃も行いながら歩きましたが、とても拾いきれる量ではありません。こんな素晴らしい景色を前に、本当に残念です。


★今回のコースは、「みえの自然楽校」(三重県)でも紹介されています。
また、近畿自然歩道のガイドマップは、横山ビジターセンター館内にて閲覧できます。