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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

白山生きものいろいろ【No.1】

2011年09月01日
白山
こんにちは。
こちらに来て、都会で見られる生きものと大きく違うので日々沢山のことを学んでいます。

この前、福井県の赤兎山避難小屋から市ノ瀬の方に下りる越前禅定道を巡視した時のことでした。

避難小屋近くの木道にぽとりとトンボが落ちていました。
その様子は鼻の頭が白く、背中から血を出して、まさに力尽きて死んでいるように見えました・・
だってこんなにも近くで写真を撮れているくらいだし・・


【上から・・なにトンボ?】


【もうちょっと近づけるか・・なにトンボ?】


このままだと踏まれてしまうので歩道の外に置いてあげようと捕もうとした瞬間、ぱっと飛び去りました。

彼の正体はカオジロトンボです。
帰って調べてみると、高層湿原を住みかにするなかなか希少なトンボみたいです。
ここ赤兎山では、分布の西南限となっている場所らしいです。
全国の元々生息する場所でも、あまり見られなくなってきているそうですね。

ある生物がそこに住んでいるということは、その生物が生まれてから死ぬまでの間に必要とする、様々な場所が付近にあるということがわかります。
トンボであれば、幼生の間に生活する水辺の環境や、餌とする生物がトンボが飛べる範囲にあるということがわかります。

そのため、守ろうとするには、その生きものの生活史(生まれてから死ぬまで)の産卵や、採餌等の環境を踏まえたうえで保全を行わねばなりません。
だからといって、その種を保存するために湿地を改変するほど変えてしまうと、他の種がいなくなってしまったりするかもしれません。

そこで、今ある赤池の環境を大切に保存していこうと様々な関係者が赤池を保存しようと活動されています。
登山される方も、意識をしてそのような点に着目して赤池周辺を歩いてみると面白いかもしれませんね。