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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

オオハンゴンソウ分布調査

2011年07月21日
松本
平湯地域では外来植物除去活動を活発に行っています。
繁殖力旺盛な外来植物に対抗するには、とにかく多くの人手が必要なため、地元の方々の協力が不可欠です。

そこで登場するのが通称「グリーンワーカー事業」という制度です。正式名称は「国立公園等民間活用特定自然環境保全活動事業」。舌をかみそう。
この制度は、自然環境保全のため、野生生物保護・景観維持・登山道の手入れといった比較的小規模な事業を、地域のマンパワーを活用して行っていこうというものです。

外来種対策もその1つで、平湯のグリーンワーカー事業では、特定外来生物に指定されているオオハンゴンソウにターゲットを絞っています。
※特定外来生物について詳しくは環境省HPをご覧ください。


オオハンゴンソウはキク科の多年生植物です。繁殖力が強く、周囲の植物の生長を阻害する物質も出して、急速に分布を広げます。

除去活動を戦略的に実施するにあたって、詳細な対象地とその優先順位を決めるため、繁殖状況の調査を行いました。
写真は昨年8月に撮影したもので、このように黄色い花を咲かせているとよく目立つのですが、調査時点ではまだ草丈が低くつぼみもつけていないので、藪の中から探し出すのに苦労しました。

一緒に繁茂していることの多い2種類の植物を並べてみました。
どちらがオオハンゴンソウでしょうか?

正解は左側。右側はヨモギです。紛らわしいですね。

葉を裏返してみると分かりやすいです。

右側のヨモギは柔らかい毛がびっしり生えて白く見えます。左側のオオハンゴンソウはてかりがあるため、写真では光が反射して白っぽく見えてしまっていますが、ヨモギの白さとは全く異なります。

それでも見分けられない!という方には最後の手段。
葉を触るとヨモギは柔らかく、オオハンゴンソウは剛毛が生えてざらざらしています。そこで、刻んでお団子に入れたらおいしそう・・・と思えるのがヨモギ、ちょっと食べたいと思わないな・・・というのがオオハンゴンソウ、となります。

既に除去活動は始まっています。その方法にも注意が必要です。
オオハンゴンソウは頑丈な地下茎をはりめぐらせており、根ごと抜き取る必要があります。抜いた後はその場に放置せず、根は切り取ってシートの上で乾燥し完全に枯死させてから焼却処分、結実する可能性のある花も切り取って密封し焼却処分、という厳密な処理を行っています。

各地で同様の活動が行われていますので、是非参加してみてください。意識して見ると、身の回りに外来種があふれていませんか。