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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

乗鞍岳の春山バス①【運行前調査】

2011年05月11日
松本
乗鞍岳の春山バスが4月29日から運行されています。
乗鞍高原でマイカーから専用のバスに乗り換え、乗鞍エコーラインの標高約2,300mの位ヶ原山荘まで一気に駆け上がります。

気軽に雪山を楽しんでもらおうと、地元が中心となって運営されている春山バスですが、標高の高い山岳地帯ではまだまだ厳しい冬山の世界。万全の装備が必要です。

利用者の安全対策や動植物保護対策などを目的に、運行前の去る4月21日に関係者合同で現地確認を行いました。


乗鞍エコーラインは除雪作業の真っ最中。雪壁は4mぐらいでしょうか。

位ヶ原山荘までは除雪が終わっていないため、冷泉小屋付近に車を置いて、雪の上を歩き始めます。


好天に恵まれ、槍穂高連峰が一望できました。


景色に見とれていたいところですが、ここからが仕事のメインです。
標高約2,600mの山小屋「肩の小屋」から下りながら、スキーヤーの目線で危険箇所を確認していきます。

この平らな地形の位ヶ原は要注意です。

先が見えませんが、どちらへ行きますか?
調査メンバーらが向かっている方向がくぼんでいて下りやすいように思えるため自然と進みがちですが、その先は険しい沢と滝となって前進不能となります。ここで過去に遭難が多く発生しています。誤って進入しないよう、後日ロープや標識を設置する予定です。中央から左よりが正解のルートとなります。視界が悪くなればますます迷いやすくなりますので、くれぐれも慎重に。

こんな障害物も突如現れます。


雪の下には乗鞍エコーラインが走っています。カーブミラー、ガードレール、雪解けとともにどんどん出てきます。目印にポールを立てるなど対策は行いますが、滑走する方はくれぐれもスピードの出しすぎにご注意ください。

今回は利用者の安全対策が主になりましたが、同時に高山帯の動植物保護対策も必要であるとの意志統一がはかられ、日を改めて再び現地へ赴くことになりました。これについては、次回「乗鞍岳の春山バス②【動植物保護対策】」に記載させていただきます。