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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

白山を感じる!!

2011年04月21日
白山
白山には「白山」という山はありません。
御前峰、大汝峰などの総称で「白山」と呼びます。

その主要な登山道へ行く道の途中に市ノ瀬ビジターセンターがあり、近々、開館準備があります。
市ノ瀬といえば、白山信仰には欠かせない越前禅定道の起点となる地域で、昔は集落があったそうです。
その開館準備の下見の為に、保護官と市ノ瀬まで行って参りました。
実はこちらにきて初めて国立公園内に入ります。

現在、登山口へ向かう県道は除雪や安全対策を実施中のため閉鎖されていますが、施設の管理のため施錠されたゲートを通り、市ノ瀬へ続く道を進みます。
今年はあまり雪崩が起きていないということを聞き、少し恐れながら・・
途中には、道路に被さる倒木を除去した跡などがあります。
バキバキに折れた太い木が沢山ありました。
恐るべし自然。
標高も少し高くなるので、聞こえる鳥の声も少し変わったような気がしました。

これまで夏の市ノ瀬の姿しか見たことがなかったので、その変わり果てた姿に唖然。


【市ノ瀬ビジターセンター】

まだまだ雪深い市ノ瀬。
まだまだ真冬の雰囲気です。
歩くたびにズボズボはまり、長靴の中は雪まみれになってしまいました。
雪によって破壊された部分もあり、早急に直さねばなりません。


その後、市ノ瀬から少し下り、環境省が組織する白山国立公園パークボランティアの活動拠点としている根倉谷園地を巡視しました。

話には聞いていましたが、ミズバショウが群生していました。


【ミズバショウ】


【こんなにも沢山!!】


この根倉谷園地はかつては集落の人の田んぼであり、市ノ瀬発電所の宿舎が並んでいたそうです。今は自然に親しむ園地となりましたが、地形自体は変わっていないみたいです。
宿舎が無くなり、園地になった事により、自然とミズバショウが生えたという結果になったと、白峰生まれ白峰育ちのSさんに教えていただきました。
このような過去のお話と自然の遷移を聞くと、人が自然に与える影響の大きさを感じますね。

そして、そのミズバショウの生える湿地に影響を与えないよう作った木道を歩く。
木道を歩き終え、帰ろうか!というまさにそのとき!!
スポン!っと雪の中に僕が落ちました。
その次に保護官も!

雪の下は空洞となっているところが多いものです。
木のそばや、岩のそば。川に落ちたら大変です。
今回は運良く無事でしたが、下に何があるかわかりません、雪の上を歩く際、みなさんは気をつけてください。
雪を払っていると別山がとても綺麗に見えました。


【美しい・・】


市ノ瀬へと続く道の除雪は最近始まって、やっとここまで来られるようになりました。
しかし、以前は集落があったにもかかわらず、除雪もされなかったそうです。
Sさんは過去に石川県の県知事選挙の為、一泊二日で投票箱を担いで徒歩で白峰から市ノ瀬まで向かったそうです。今では考えられませんね。
今では車にのると数10分で移動できます。
そんな話を聞いて、今あるものを当たり前と思わずに、今ある自然に感謝をして大切に利用させてもらわねば、と思わせてくれるSさんの体験談でした。

なお、ゲートはまだ閉まってますのでまだ来ても入れません。
そして、危険なので絶対に立ち入らないようお願いします。