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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

関西学院大学インターンシップの上信越高原国立公園体験記~その3~

2010年09月07日
万座
さて、トリを飾っていただくのは、嶋崎裕二郎君です。彼の登山ペースはとても素晴らしいものでした。そんな嶋崎君からは、研修の中で体験した外来植物(オオハンゴンソウ)の駆除についてレポートを提出いただきました。では、宜しくお願いします!


こんにちはー。
インターンで万座自然保護官の方々にお世話になっている、関西学院大学の嶋崎です。
8月24日、草津町内で特定外来生物のオオハンゴンソウの駆除作業のお手伝いに参加させてもらいました。


【オオハンゴンソウの花】

今回は1日だけということで、ほんの一画だけの駆除しかできませんでしたが、もうあたり一体オオハンゴンソウのお花畑!!
そもそも、このオオハンゴンソウはとても繁殖力が強く、もともとの在来植物のすみかを奪ってしまうので、特定外来生物に指定されたのですが…本当に何処を見てもオオハンゴンソウの花・花・花。駆除の方法も根が少しでも残っていると再生してしまうので、一つひとつ丁寧に抜かなくてはならず、とても大変です。駆除するための費用や労力、時間もかなり必要みたいです。

【作業風景(小さな個体でも根が太くなっていて作業にてこずりました)】
今回の駆除作業にも関わってくることですが、生物多様性の問題って本当に難しいですね。オオハンゴンソウは、オオハンゴンソウなりに自分たちの遺伝子を残すために頑張っているだけなのに。個人的には一見、本当にきれいなお花畑だなぁ…とか思ったりもして。弱肉強食の世界が間違っているわけでもないし、でも以前に見ることのできた動物や花、虫が見られなくなってしまうのもさびしい気もするし。何が良くて、何が悪いかなんてはっきりしない問題なのかもしれないし、そもそも人間が関わる問題ではないのかもしれないですね。だけど、今はそれに対する答えがはっきり出ていないからこそ(答えが出るのかもわかりませんが)、生物の多様性を守っていかないといけない問題なのかもしれませんね。
そういうわけでみなさんには、人や動植物や虫、みんなが仲良く共存していける世界を実現していくために、そういった問題が現実にあってそういった活動をしている人がいるということを少しでも知ってもらえればと思います。
もしかすると動植物や虫たちの間では、私たち人間は最高レベルの特定外来生物に指定されているのかもしれませんけどね。笑
以上、実習生嶋崎でした。



嶋崎君、ありがとうございました。この作業でも、みんな汗だくになり一生懸命に取り組んでいました。駆除の大変さを知ると同時に、外来生物の脅威についても体感していただけたことと思います。外来生物についてはまず“その存在を知っていただく”ことがとても重要になってくると感じています。これから先も、“様々な自然”を見ることができるよう、外来生物の問題に目を向けてもらう努力を私も行っていきたいと思っています。

今回インターンシップに万座管内に来たこの3名の学生は、1日1日と研修を行っていく中で様々な感想を持っていただけたようでした。その中でも共通していたことが「国立公園や自然の美しさにとても感動した」との意見でした。この研修を通し、自然の偉大さに触れ、またそれを守るものや活動があるということ、また自然環境を守ることの難しさ、などを知り得ていただけたのではないでしょうか。人と人、人と自然、自然と自然の関わりについて、ふと考えてみてもらえると嬉しいです。
7日間の研修、お疲れ様でした!

【浅間山と学生たち(浅間山登山道巡視)】