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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

藤前干潟もうひとつの物語Ⅱ「ある愛の詩」

2009年06月05日
名古屋
 今、藤前干潟は、シギ・チドリ類、カモ類も旅立ち、干潟そのものを見るには絶好のチャンスの時期でもあるのですが、鳥が渡ったあとの干潟というのは祭りが終わったあとの静けさというのか、メインディッシュのないコース料理というのか、まぐろのない寿司というのか、ちょっと寂しい状態・・・。
 そこで今日は、鳥気のない干潟で見つけた「ある愛の物語」をお話したいと思います。


*鳥気配の消えた藤前干潟は愛を語るのに絶好のポイントだ!

 主人公の名は、ガー君。3年前の大雨で上流から流れてきたアヒルです。そしてそのお相手は、カモのカモ美ちゃん。両親が情熱家だったのでしょう。体はマガモ。顔はカルガモをしています。そんな両親の種を超えた愛から生まれたカモ美ちゃんなのですが、実は羽根を痛めていて、飛ぶことができません。仲間と一緒に繁殖地に旅立つことができなかったのです。そして一方のガー君にもまた悲しい過去がありました。藤前干潟で契りを結んだメスのカモたちは、時期が来るとみな旅立っていきました。まるで「一時期の遊びよ」と、いわんばかりに・・・。


*ガー君はカモ美を守るかのようにいつも寄りそっている。

 そんな傷ついた羽を持つカモ美ちゃんと、傷ついた心を持つガー君。この二羽が出会い、惹かれあうのは当然と言えば当然のこと。いつの頃から、並んで餌をついばむ姿がみられるようになりました。
 時折食事を止めては、「ちゃんと食べているか」というような表情で、食事に夢中なカモ美をみつめるガー君。その姿は、ようやく伴侶に巡り合えた喜びをかみしめているようでもあり、わたしの胸を熱くさせるのでありました。


*カモ美は、羽根を痛めているが、よくよく見ると美形。ガー君が夢中になるのも無理はない。
 
 今もしあなたが少し疲れている、と感じたら、藤前干潟にガー君とカモ美を見に遊びにきませんか?心がほのぼのすること、うけ合いです。
 それではまたアクティブレンジャー日記でお会いしましょう。
 ~COP10まであと1年3か月~