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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

外来植物の除去活動in乗鞍

2008年07月14日
松本
もともとその地域になかったのに、人間の活動によって外国から入ってきた生物を外来生物と呼び、日本では約2,000種が確認されています。その中でも特に、繁殖力が強かったり、生態系を乱したりと、在来の生物に悪影響を及ぼすと考えられているものを対象に、駆除活動を行っています。乗鞍エリアでは、標高によって状況が異なることから、高原部と山岳部に分けて各関係機関や地元ボランティアの方々による地道な除去活動が進められています。

まず乗鞍高原部では、北米原産のキク科植物、アラゲハンゴンソウの除去活動をスキー場ゲレンデにて行いました。

広範囲に繁茂しており、一回の作業では到底抜ききれませんが、現実を目の当たりにして危機感を募らせた参加者も多かったのではないでしょうか。30年ほど前までここにはマツムシソウが咲き乱れていたそうですが、現在では見る影もありません。

一方乗鞍山岳部では、畳平周辺にてセイヨウタンポポの除去活動が行われました。乗鞍岳は標高2,700mの畳平まで車道が整備されているため誰でも気軽に高山へ登ることができる特殊な場所ですが、そのために車のタイヤや人の靴などにくっついて外界の種子が侵入しやすい環境となってしまっています。そんな経緯を如実に物語るかのように、セイヨウタンポポは道路際に沿って繁茂しており、脆弱な日本の高山植物への影響が懸念されています。

ヨーロッパ原産のセイヨウタンポポは、外側のガクのように見える部分が反り返っている点で、在来種のタンポポと区別することができます。根が非常に深く、抜き取りは容易ではありません。

約20名で、濃霧と強風の中寒さに耐えながら4時間かけて抜き取った成果。
一度繁殖してしまったものを取り除くには多大な労力を要するのですね。

美しい花、かわいい動物、身の回りの動植物も視点を変えて見ると実は外来種だらけです。だからと言って、国立公園や山などでむやみに外来種除去をしないでくださいね。見分け方や除去方法、処理方法などを誤るとかえって悪影響を及ぼす恐れがあります。まずは外来生物予防三原則「入れない・捨てない・拡げない」を意識することから始めましょう。