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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

さまざまな樹木達

2007年09月20日
長野
 登山道の巡視やモニタリングなどで山に行くと、高山植物以外にも高所ならではの木々に出会う機会が多くあります。樹木たちも人間と同じくそれぞれに個性があり、同じ個体でも気候や標高によりその場の環境に適合した形に変移します。高山帯の樹木は高山植物系の花たちに比べ華やかさは劣ってしまいますが、樹木の生長課程を観察することによって興味深い発見をしたりダイナミックな形状を鑑賞して楽しむ魅力があります。
今回はそんな高所の樹木の中で特に風変わりな樹木達を紹介したいと思います。


(根性の木)
蓮華温泉から笹目尾根の途中にあった蛇のような木です。
木の種類は不明ですが、冬季の雪の重みと倒木による影響かと思われます。
真っ直ぐ伸びたくても厚く積もった雪に邪魔をされ、軌道修正をしたあげくに倒木に行く手を遮られなんとも壮絶な人生を送っていますが立派に成長し続けています。


(異種格闘木)
この木の近くを歩いていたら、ギシギシと木の擦れあう音が聞こえ上を見上げると、シラビソとダケカンバがお互いにもたれ合っていました。
第一印象「喧嘩」。根元を見るとどちらも何らかの影響で地面が隆起してしまい、今のようなぶつかり合う形になってしまったようです。
この2本の木、見方を変えると喧嘩ではなく、仲良しで寄り添っていたのかもしれませんね。


(百枝一本傘妖怪の木)
中心に太い幹を持ち、上から傘を被ってるように見える木。たぶんコメツガの木だと思いますが、これも見事に上から雪の重みで押さえつけられ、上への成長を妨げられています。日の光を得るため、雪質の柔らかい所を探しつつ枝が伸びたようです。結果まるでタコのような形態になってしまいましたね。
でも力強さは感じられます。



(とろろ昆布の木)
この緑色に垂れ下がった物はサルオガセと言う糸状の地衣類の植物です。
あまり平地では見られない光景なので、この姿を見ると山奥に来た実感がわいてきます。このサルオガセ、なんと漢方薬として利用されているとの話ですが効果は不明です。見た目ちょっと不気味ですが、実際森の中で見ると幻想的で自然の神秘さを実感できます。