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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

室堂巡視(AR東原版)

2007年05月04日
長野
AR木村さんに続き私もGW中に室堂の巡視を行ってきました。
この巡視目的はゴールデンウィーク期間中における室堂・地獄谷への立入禁止看板、ポール、ロープの点検及び問題行為の確認・注意・記録等を行い延べ10日間に渡り交代でパトロールを実施いたしました。
私が担当した初日はあいにくの天候で視界が全く利かない状態でした。
そのせいもあり観光客や登山者・スキー客の姿はほとんどありませんでした。
あれ?前回の安全祈願祭もこんな天気でしたね…。
しかしこんな天候でも巡視は実施されます。暴風雪の中を歩く観光客も少なからず見られました。
巡視している私でさえも方向感覚が狂いそうな状況で、スキー客や観光客は大変そうに歩いてるのを見てとても心配になったので自信のなさそうな人にはあまり無理をせずに戻るよう声をかけたりしました。
山の上の悪天候は下界では想像もつかないほどの悪条件です。
いくら観光地とは言えそこは森林限界を超えた高山帯なので安易な気持ちでの行動は禁物です。
室堂の場合は各ターミナル内においてライブカメラが設置されていますので、モニターで天候を確認して行動をしてもらえたらなと思います。




左の写真はホテル立山(室堂バスターミナル)前の全景。暴風雪気温+2度。
悪天候のため人数はかなり少なめ。観光客はほとんどこのあたりの散策でしたが、何組かはみくりが池温泉まで歩いて引き返してる人がいました。
右は2日目の朝同じ場所で撮った写真。雲一つ無い快晴で日差しが暑く感じられました。




地獄谷見晴台付近です。強風により保護柵が倒れていたので直しました。
今回この付近では風にあおられ地獄谷からの硫化水素ガスの濃度が濃く感じられました。
※臭いがきつく息苦しく感じてきた場合はその場からすぐに離れるようにしてください。




巡視初日の日にリンドウ池のハイマツ付近でライチョウを目撃しました。
ライチョウはイヌワシなどの天敵から避けるため朝夕の時間、天候の悪い日に活動します。
雷鳥を観察したい人は天気が悪いときの方が良いかもしれません。
出現する確率が高くなりますよ。しかしそこはきちんとした装備をした上での話です。そしてあまりにも天候不良な場合は無理をしないようお願いいたします。


この室堂は雷鳥に対する保護と繁殖に力を入れております。
そのため雷鳥保護の為のロープが敷設されています。
私が巡視した日は悪天候の上、風もかなり強かったので立入禁止看板が倒れてたり、向いてる方向が変わってしまったりしてる物がたくさんありました。
看板を修正する際にロープを越えた人の足跡の確認をしましたが、幸いなことにこの日は見あたりませんでした。
翌日は朝から快晴に恵まれ、室堂には早朝から沢山の観光客やスキー客などが来られました。
この日の巡視中にロープを越えて雪の上で大の字で寝そべっている観光客を発見しました。すぐに出てもらうようお願いしました。観光客は残念そうな顔をしながらも素直に応じてくれました。私はどうしてもその観光客の残念そうな顔が気になり、何故立ち入り禁止の場所に入ったのか聞いてみました。
するとその方は自分が住んでる所には雪が無く、とても綺麗だったので
人の足で踏み固められた雪の上より自然に積もった雪の上で自分の人型の写真を撮りたかったと言う答えが返ってきました。確かになるほどなと思います。
気持ちはとてもわかるのですが、一人がこういう行動をとってしまうと必ず後から同じ事をする人が出てきます。そうならないためにも初期指導という行為が重要になってきます。
この事を観光客に話すととても理解してくれたようで安心いたしました。
室堂へ来られた方達皆の顔はとても生き生きとして感動や喜びを表現している人ばかりです。そんな人たちをちょっとしたルール違反に対して注意をするのはとても辛い事です。ですから利用者達には自然保護の理解と管理する側の気持ちも理解していただければ嬉しい限りです。