アクティブ・レンジャー中部地区

越冬をはじめた乗鞍のチョウたち

2024年11月19日
中部山岳国立公園 中岡浩貴

 こんにちは。乗鞍・白骨アクティブ・レンジャーの中岡です。


 
 昨年は、10月から本格的な降雪のあった乗鞍岳ですが、今年の10月は一度雪が降ったほかは穏やかな天候が続き、乗鞍エコーラインのシャトルバスは10月31日まで予定通り運行が行われました。その後、11月6日にようやく本格的な降雪があり、現在はその雪で山が少し白くなっています。
 

 
 そんな暖かい陽気の続く中部山岳国立公園ですが、着実に季節が進んでいることを感じる場面もありました。
 乗鞍高原で毎年この時期に行わなければいけないのが、一の瀬草原にある環境省の公衆トイレの仕様切替えです。冬は配管の水が凍ってしまうため、夏仕様(簡易水洗式)のトイレを水抜き・閉鎖して、冬仕様(ぼっとん式)に切り替えます。
 
 
 
 先日、この作業のために屋外で保管していた木板を移動させたところ、板の裏側に、越冬中のキベリタテハというチョウがぶら下がっていたのです。この越冬中のキベリ君は、当初板を動かしても、手で触っても全く反応がありませんでした。ですが、そのまま陽の当たる場所に置いておくと、やがて体温が上がって少しずつ動き始め、一の瀬の空に飛び立っていきました。ちょっと申し訳ないことをしましたが、越冬中のチョウは自然の状態でも冬の暖かい日に目覚めて飛び出すことがよくあるので、気温が下がれば、またどこか良い場所に潜り込んで越冬を再開するのだと思います。
 

 
 越冬するチョウがいることは、知識としては知っていましたが、実際にその様子を見たのは初めてでした。チョウ達は普段こんな場所で冬を越しているんだなあ、としみじみ感じた一場面でした。