英虞湾(あごわん)について
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英虞湾(あごわん)の景観と歴史、文化
トップへ英虞湾(あごわん)は三重県南東部にある穏やかな湾です。海岸線が入り組んだリアス海岸と湾内に浮かぶ多くの島々が特徴で、数百年の昔から訪れる人々を惹きつけてきました。海抜約140メートルの横山展望台に立つと、英虞湾(あごわん)を見下ろすパノラマの風景を楽しむことができます。
この独特な地形は、様々な地質学的変化が組み合わさってつくられました。数億年前、プレートテクトニクスの作用により海底が隆起し始めました。これが最終氷期になると海底だった部分が上昇して陸地となり、多くの河川や谷が形成されます。そして約1万年前に氷期が終わると、谷が海に沈んで入江となり、山々は大小50以上の島々となりました。
英虞湾(あごわん)は「里海(さとうみ)」と呼ばれています。里海(さとうみ)とは伝統的に地域の人々が生活のために様々な資源を利用してきた沿岸海域のことをいいます。ここでは持続可能な生産活動が行われており、豊かな生物多様性が保たれています。また、森からもたらされる栄養分や暖流の黒潮、西の御座岬まで続く半島に囲まれた地形のおかげで英虞湾(あごわん)は豊かな海となり、人々の産業や生活を支えてきました。
湾内ではあおさのりの養殖が行われています。また、湾内には真珠養殖の筏がたくさん浮かび、海岸には作業小屋が点在しています。湾口のすぐ外側では、海底の岩場で海女が貝や海藻を獲っています。海女漁は乱獲を防ぐためのルールを守って行われており、海の資源を将来の世代に残しています。
英虞湾(あごわん)を見下ろす横山の森は、昔から人々が持続的に資源を利用してきた「里山」です。地域の人々はウバメガシの硬くて緻密な材質を活用して備長炭を作り、アラカシなどは薪にして、生活に利用してきました。
英虞湾(あごわん)や横山展望台周辺の森からは、日本の伝統的な生活様式をうかがい知ることができます。数千万年かけて形成された地形と伝統的な人間の暮らしからつくられたこの風景は「持続可能な社会のお手本」といえるかもしれません。