平湯

飛騨側の奥穂高岳登山ルート【白出沢ルート】

2023年11月10日
福澤春彦
【週刊アクティブ・レンジャー】Vol. 104
 こんにちは、平湯からアクティブ・レンジャーの福澤です。
平湯方面も随分寒くなり、シンボルの笠ヶ岳稜線は白くなっています。飛騨側北アルプスの山小屋も通年営業の西穂山荘以外は今シーズンの営業を終え、いよいよ冬の装いとなっています。
 さて今回は、9月末に巡視した登山道から奥穂高岳への最短ルート、白出沢ルートを取り上げます。このルートは2020年の群発地震と豪雨等の影響により崩壊が激しく通行できない状態が続いていましたが、北アルプス飛騨側登山道等維持連絡協議会と山岳関係者による登山道維持管理がなされ、現在は通行できるようになりました。しかしこのルートは、険しい岩場の通過と登山道を確実にトレースできる技量が必要な北アルプスの中でも困難なルートです。また天候によって大きく難易度が変わりますので、雨や風に注意を払い慎重な行動を心がけて下さい。
 登山口は新穂高温泉からの右俣林道終点手前にあり、ルートは穂高岳山荘まで大きく3つのパートに分かれますので行動の目安になります。①登山口から白出沢下降点まで。ここまでは気持ちよく歩ける緩やかな森の道なので焦らずゆっくり登っていきます。重要なのは、白出沢(重太郎橋)が下に見え始めたら下降前に状況をしっかり確認する事です。重太郎橋は流されていないか、水の量と勢い、沢の状況、対岸に続く登山道の状態、等を慎重に観察します。少しでも不安を感じたら勇気をもって引き返しましょう!

<ここを通過できるか上部から確認しましょう!>

②重太郎橋から荷継小屋跡まで。このルートで一番緊張させられる場所で、岩壁に付けられた岩切道や高度感のある梯子や鎖、沢沿いに登るザレた急登などが連続します。

<重太郎橋を渡り終えたら難路の始まりです!>


<高感あるある岩場を登ります>


<落石に細心の注意を払いながら>

③荷継小屋跡から穂高岳山荘まで。ここからはルートマークを確実に拾いながらの体力勝負、です。先ずは荷継小屋跡の上に続く沢は荷継沢で目的の白出沢ではありません、必ず対岸に渡ります。一旦樹林帯に入り急登を越えればいよいよ長く続く白出沢です。ただただ積み重なった岩を登っていきます。ルートを外すと岩が不安定で極端に歩きにくくなります。また斜度が次第に増していき体力的にもキツいところです。次第に穂高岳山荘も視界に入ってきますが、なかなか近づいてくれない精神的にもキツいところ。それでも、これまで苦労したルートが分かり易くなり、重なった岩が登山道らしく整ってくると、一気に高度を上げ山荘裏に飛び出しました。

<岩が積み重なった大きな沢でルートを探します>


<登ってきた白出沢を振り返る>

②の険しさと③のルートファインディングと全く違った困難さを持ったルートでした。春から初夏は残雪が残り登り方が全く変わる為ここでは言及しませんが、③のパートで秋に降雪があるとルートマークが分らなくなり道迷いリスクが非常に高まります。繰り返しになりますが、気象状況に特に気を配って計画して頂きたいルートでした。また②③の区間は落石に備えてヘルメットは必須です。飛騨側から見えるギザギザの牙のように見える穂高岳周辺の景観は上高地からのものと全く違い、もし初めて見たら「あの山は何?」と新しい感動があるでしょう!

<飛騨側から見たジャンダルム>