ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年5月19日

4件の記事があります。

2020年05月19日#STAYHOME 美女がスギに変えられた?!

中部山岳国立公園 一ノ枝亮輔

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。

先日アルペンルートの巡視に行ってきました。その時の様子の一部を紹介させていただきます。

アルペンルート上に「美女平」や「ブナ平」と呼ばれる場所があります。立山駅から立山ケーブルカーに乗り最初に到着するのが美女平駅です。(標高977m)

そこから上に行くと、美女平(1000m)やブナ平(1180m)に着きます。(多くの人が立山高原バスに乗って通過をするエリアになります。)

「美女平」って何でこの名前なのか気になりますよね。立山は古くから立山信仰と呼ばれ山岳信仰の地でもありました。伝説には諸説あるようですが、立山登山はかつて女人禁制で(明治五年(1872)に解禁となった。)美女が掟をやぶり登ろうとした際に、神の怒りに触れ「美女杉」に変えられてしまったという伝説から「美女平」と呼ぶようになったそうです。(美女杉は美女平駅前にあります。)

美女平からブナ平にかけては、溶岩台地の上に立山杉とブナの木が多く植生しています。立山ではこの2種類の木が混在しているのが特徴で見ることができます。今回はその中から立山杉の巨木たちの紹介です。

こちらが、「アルペンスギ」です。(幹周6.6m 高さ23m)

名前の通りアルペンルートの象徴となっている巨木です。

そのたたずまいに圧巻です!

そして、こちらが「仙洞スギ」(幹周9.4m 高さ21m)と呼ばれています。

幹周りが9.4mというこのスケール!その気高さから神が宿る木とも言われているそうです。

どちらもアルペンルートの道路沿いから見ることができる巨木です。

また、その他にも立山杉の巨木があり、富山森林管理署のサイトで紹介されていますので興味のある方はそちらも見てみると面白いです。

富山森林管理署のサイトへ>>

お家にいる時間が長くなったので、この機会にかつて山々で撮られた木々や花々の写真などを振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。

現在も、立山・黒部周辺の交通機関や各施設も営業を休止しております。

山小屋についても小屋泊、テント泊ともにお休みしています。引き続き、自粛をよろしくお願いいたします。詳しくは各サイトにてご確認ください。

黒部峡谷鉄道 

欅平ビジターセンター 

立山黒部アルペンルート 

立山自然保護センター 

黒部ダム 

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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

 なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト

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2020年05月19日#STAYHOME 雪どけ後の点検と乗鞍岳

中部山岳国立公園 関根陽太

こんにちは。中部山岳国立公園管理事務所の関根です。

  

環境省が乗鞍高原で直轄整備・管理している施設の点検をしてきました。

歩道や木道、橋、案内板、トイレなど、環境省では様々な利用施設を整備しています。

特にこの時期は、冬の間に壊れた箇所がないか念入りにチェックしています!

 

昨年、木道の滑りやすい箇所に滑り止めネットを張ってみました。

雪どけや、紅葉の時期には滑り止めネットの中に入った落ち葉の清掃が必要ですが、以前より安全に歩いていただけるようになったかと思います。

 

 

自分の目と足だけでなく、利用者や地元の方の声や情報にもアンテナを張りながら、順次安全対策を進められればと思います!!

 

この時期、乗鞍岳の雪どけ状況も気になりますよね~

新緑や融雪など日々の自然環境の変化を観察するには、ライブカメラを活用する方法もあります!

 

環境省が運営するインターネット自然研究所では、「乗鞍高原からみた乗鞍岳」をはじめ、全国の国立公園等に設置した固定カメラで撮影したライブ画像を公開しています。画像は日中1時間間隔で更新され、過去の画像をデータベースとして蓄積しています。「乗鞍高原からみた乗鞍岳」は、2002年からの画像が蓄積されています!!

 

「日別」や「月別」で表示してみると、季節の移り変わりを観察することができます。

さらに「年度推移」での表示ができるのも興味深いです。

 

 

同じ日付でも年によって、残雪や新緑の様子が違っていて、地球環境・生態系の変化をおうちで感じられます。

 

それ以外にも様々な条件で画像を並び替えることができますので、あなたならではの活用方法を考えてみるのもよいかもしれません。まず乗鞍岳の今を、インターネット自然研究所からぜひ覗いてみてください!

 

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 中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。

 なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。

#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト

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2020年05月19日#STAYHOME おうち de 白山国立公園の旅!その2 樹齢1800年!神秘の大樹に出会う石徹白の旅

白山国立公園 大石佳織

皆さん、こんにちは。
白山自然保護官事務所の大石です。

不要不急の外出自粛で、野外の潤いが足りずにしおれている人、いませんか!?
おうちにいる皆さんに、野外の空気を少しでもお届けするために、アクティブ・レンジャー日記上で皆さんを白山国立公園の旅へご案内したいと思います。

今回は石徹白大杉に出会う旅です。

ところで、皆さん「石徹白」って読めますか?

答えは「いとしろ」です。
岐阜県と福井県の境にある地区の名前ですが難読ですよね。
私は最初、読めませんでした...。

(銚子ヶ峰という山の上から見た石徹白。写真中央付近。20157月に撮影されたもの)

さあ、目的地域の読み方がわかったところで、出発しましょう!

【 おうち de 白山国立公園の旅!
  その2 樹齢1800年!神秘の大樹に出会う石徹白の旅(岐阜県郡上市)】

長良川沿いの国道158号から岐阜県道314号へ入り、棚田などが広がる山あいの集落をドライブです。阿弥陀ヶ滝の看板を横目に、山道を上って下ると再び集落が現れます。

石徹白地区です。
夏には美味しい美味しいとうもろこしが採れる地区です。
空がとても広く感じるのどかな地区をさらに奥へ進むと、風格のある鳥居が現れます。
ここは白山中居神社。

(白山中居神社の鳥居。20195月撮影)
この神社は言い伝えによると、景行天皇12年(82年)の創祀とされています。今は2020年なので、1900年以上の歴史があるいうことになりますね。
ちょっと立ち寄りましょう。

まず、目に付くのは鳥居の傍にあるスギ。
鳥居が立派なので、写真だとたいしたことがないように見えますが、実は巨大です。
でも、驚くのはまだまだ早い。

境内に足を踏み入れると、神社の歴史を物語るように次から次へと巨樹が姿を現します。

(参道沿いの巨樹。20195月撮影)
参道を歩いている男性と比べてみると大きさがわかります。
遠近法は使っていません。念のため。

(参道には巨樹がひしめき合っています。20195月撮影)
林立する巨樹によるものなのか、境内には重厚というか荘厳というか...心が静まる不思議な空気があるように私は感じます。
ちなみに境内にそびえるスギの巨樹は140本ほどあり、樹齢は2001000年以上だそうです。岐阜県の天然記念物「白山中居神社の森」に指定されています。
駐車場からすぐにアクセスできて、これほどたくさんの巨木の中にたたずむことができるなんて幸せです。

ところで、白山中居神社の見どころはスギだけではありません。
本殿にもおすすめがあります。

(拝殿の奥にある本殿。左奥の建物。2013年に撮影されたもの)

本殿には様々な彫刻が施されているのですが、どれも見事なんです!
獅子の彫刻などは人が見ていないときにはこっそり動き出してるんじゃないかと想像してしまうくらいに躍動感があります。
その中でも、私のお気に入りの彫刻をご紹介しましょう。

こちらです!

(粟穂に鶉。よく見ると足元にはヒナもいます
2019年撮影)
なんとウズラ家族です!丸っこい形がかわいい!
本殿の正面にあるこちらの「粟に鶉(うずら)」の彫刻は、県の重要文化財に指定されています。神社などは厳めしい彫り物が多いと思っていたので、私はこの出会いにほっこり癒されました♪

さらに、社殿の裏山に続く散策道をちょっと登ると「浄安杉(じょうあんすぎ)」という樹齢約1200年のスギの巨木もありますよ。
失礼がないように きちんとお参りしたら、本日の目玉に向かいましょう!

車に乗って、
白山中居神社から道幅の狭い道を約7km走ると、目的の場所への入口に到着です。

(入口。20177月撮影)
19km」という、引いてしまいそうな数字が見えますが、ご安心ください。
これは白山までの距離。
本日の目的地へは340mです!

ここからは徒歩。
駐車場に車を止めたら、よく整備された石段を上ります。
そう、石段。

(下りの余裕があるときに撮った石段。20197月撮影)
気持ちのよい木立の中を行く石段ですが、運動不足の身に堪えることは間違いないと思われます。不要不急の外出は自粛中であっても、体力をなるべく落とさない工夫はやはり忘れてはいけませんね。(自分への戒めを大いに含みます)

石段を上りきると...

(石徹白大杉。20187月撮影)
ついに到着です。

推定樹齢1800年。
周囲約13m。
国の特別天然記念物「石徹白のスギ」です。
石徹白大杉と呼ばれていますが、
大人12人が手をつないでやっと一周できるということで「十二抱えの大杉」とも言われます。白山を開山したという泰澄大師が刺した杖が育ったという伝説もあるそうですよ。

天に向かって力強く伸ばされた枝、他のスギとは違った白っぽい樹皮を持つ姿は威風堂々としていますね。また、大杉の上には、たくさんの異なる種類の木々が育っているのですが、巨樹の上に森ができているようにも見えて、神秘的です。

大樹がまとう空気を胸いっぱいに吸い込んでリフレッシュしたら、帰ることにしましょうか。

お疲れ様でした。

本日の旅はいかがでしたか?
皆さんに少しは野外の潤いは届いたでしょうか?

☆白山の豆知識「白山道刈」☆
石徹白の人々は、白山へ続く信仰登山の道「美濃禅定道(ぜんじょうどう)」を草刈や整備活動によって、千年以上にわたって守ってきました。美濃禅定道を守る活動は「白山道刈(はくさんみちかり)」と呼ばれています。現在は環境保全活動に参加する機会として、一般の方もボランティアで参加できるようになっています。(一般の方が参加可能な清掃登山は、例年は7月下旬に開催されます。)


(水色の下線箇所が今回訪れた場所)

☆過去の「おうちde白山国立公園の旅」もよければお楽しみください☆
2020
0501日#STAYHOME おうち de 白山国立公園の旅!その1 刈込池

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2020年05月19日#STAYHOME ウワミズザクラの季節です

妙高戸隠連山国立公園 アクティブ・レンジャー 帖地千尋

満開のウワミズザクラ

 

いもり池周辺では今、ウワミズザクラの花が満開です。良く見るサクラと花の形が随分違いますが、れっきとしたサクラの仲間です。新潟県ではウワミズザクラのつぼみや完熟前の実を塩漬けやお酒に漬け「杏仁香(アンニンゴ)」として食用にするのだそうです。以前つぼみの天ぷらをいただいたことがあるのですが、独特の風味で大変おいしかったです。字のごとく杏仁の香り、杏仁豆腐や桜餅の葉っぱのあのいい香りの成分であるクマリンが、ウワミズザクラにも含まれているのだとか。ということで、花が満開の今ならあの香りをたくさん嗅げるのでは!と思い、試してみました。マスクを外し、思いっきり息を吸い込んでみた!のですが・・・匂いが・・・しない?

 

ブラシ状の花序

 

花に近づいてみるとうっすら・・するにはする。その後、葉をこすってみたり、枝をこすってみたり、幹の匂いをかいでみたりしましたが、想像していたのと違う・・・。成分が強くでる時期や条件があるのでしょうか?謎は深まるばかりです。

 

昆虫たちもたくさん集まります

 

さて、このウワミズザクラは人間のみならず、動物にも人気があります。実が熟した頃になると、ヒヨドリやメジロなどいろんな鳥がやってきます。クマもこの実が好き。冬になって葉が落ちた頃になるとクマ棚がかけられているのを見つけることができるかもしれません。花が咲いているこの時期に場所を覚えておくと、やってくる動物の観察に役立ちますよ。

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