自然といきもの
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横山の自然「森」
横山展望台周辺の森は、黒潮がもたらす温暖な気候の影響により常緑広葉樹が大部分を占めています。地域の人々は数世紀にわたりこうした森を利用し、持続的に管理してきました。このような森を「里山」といいます。
この森を代表する樹木は常緑広葉樹のウバメガシです。硬くて緻密な材質を活かして備長炭という質の高い白炭がつくられ、昔から利用されてきました。また、アラカシも薪として利用されてきました。これらの木から落ちるドングリは、森に住むリスなどの動物の食糧にもなっています。
遊歩道沿いで見られる他の樹木:
- - トベラ:白い花を咲かせる常緑低木
- - ヤマモモ: 春に赤い若葉をつけ、初夏になると赤い実がなる
- - ヒノキ:建築用木材として利用される(伊勢神宮の社殿などの造営にも使われている)。以前は家屋を新築するときヒノキを植樹するのが習わしだった
- -クサギ :ピンク色のがくがアクセントの白い花と、刺激的な匂いがする葉をつける落葉低木
横山の自然「草花ときのこ」
横山の森には四季折々に開花する植物がたくさんあります。ただし横山展望台周辺では草花を摘んだり持ち帰ったりすることは控えて、目で見て楽しみましょう。
森の中でよく見られるのがコバノミツバツツジです。ツツジの仲間であるこの落葉低木は、毎年4月から5月にかけて、横山ビジターセンターからあご湾展望台までの遊歩道沿いで鮮やかなピンク色の花を咲かせます。また、創造の森ではサクラやアジサイの花を楽しむことができます。
横山展望台周辺で見られる他の草花:
- - ササユリ:6月から7月にかけて淡いピンクの花を咲かせる
- - センブリ:秋に小さな白い花を咲かせる。歩道付近の日光が差し込んで いる場所などで開花する
- - キキョウ:盛夏に青い花を咲かせる
- - ヒメコウホネ:夏に黄色の花を咲かせる
キノコなどの菌類は、森にとって重要な役割を担っており、有機物を分解して他の生物が利用できる無機質の栄養分に変えます。最も多く見られるのは6月から9月の雨の多い時期ですが、一年を通して見ることができます。
横山展望台周辺では、以下のキノコがよく見られます。
- - ツチグリ:特徴的な星形の外皮を持つ
- - サルノコシカケ
- - カワラタケ
横山の自然「鳥、その他の動物」
横山の森には、鳥やほかの動物がたくさんいます。特定の季節にしか見られない鳥もいれば、一年中見られる鳥もいます。
メジロは年中見られ、春には花の蜜を吸っています。冬にはコゲラ、エナガ、ヤマガラといった種類の異なる鳥が集まり、木々の枝で餌を探します。冬は点在する落葉樹が葉を落とし森の中の見通しが良くなるため、野鳥を観察するには最適な季節です。
展望台から英虞湾(あごわん)を眺めていると、トビをよく見かけます。冬には英虞湾(あごわん)でミサゴが魚を捕ります。創造の森の湿地や沼にはアオサギがよくやってきて、魚やカエルを捕食しています。横山周辺では以下のようなカエルをよく見かけます。
- - アカガエル
- - ニホンアマガエル
- - トノサマガエル
- - シュレーゲルアオガエル
哺乳類の姿を見かけることは稀ですが、森の奥でシカが鳴く声が時々聞こえてきます。また遊歩道の脇にはイノシシが餌を探して地表を掘り返した跡が見られ、その存在が分かります。横山にはリスも住んでおり、ドングリが実る時期にまれに見かけることがありますが、その姿よりも食事の跡を見つけることの方が多いでしょう。栄養価の高い松ぼっくりの種の部分だけがかじりとられ芯だけになったものは「森のエビフライ」と呼ばれ、遊歩道脇に転がっていることがあります。
横山の自然「昆虫」
横山展望台周辺の森の中で、昆虫はそれぞれ大切な役割を果たしています。
早春を過ぎると遊歩道にはチョウがよく飛び交っており、森を通り抜ける姿をよく目にします。よく見られるのは モンキアゲハやカラスアゲハなどのアゲハチョウです。秋には南へ渡るアサギマダラが横山を通ります。
夏になると、トンボの仲間で賑わいます。
- - ハッチョウトンボ:開長20ミリメートル未満の世界一小さいトンボ
- - オニヤンマ:獲物を求めて里山を飛び回る日本最大のトンボ
- - オオシオカラトンボ:腹部が空色なことで知られる
- - モノサシトンボ:腹部の等間隔の縞模様が名前の由来
また、夏には木々にコクワガタやカブトムシが見られ、訪れる子どもたちを喜ばせています。 鳴き声で存在をアピールする昆虫もいます。春から夏にかけては交尾の相手を求めるクマゼミ、ハルゼミ、ヒグラシの鳴き声が一帯に響き渡ります。寒くなるにつれ、秋の夜長には欠かせないキリギリスやコオロギの鳴き声がセミにとってかわります。