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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

賑わいから静寂へ 立山の今期シーズン終了

2022年12月07日
平松新一
こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の平松です。
11月30日、立山黒部アルペンルートの今年度の運行が終了しました。
それに先だって、環境省、富山県、周辺の関係機関等で構成している室堂平周辺積雪期利用適正化協議会では、11月25日から30日までの間、室堂平に仮設野営指定地を開設しました。仮設野営指定地は、室堂平周辺の山小屋が25日に終了すること、積雪により野営地である雷鳥沢まで行くことが困難であることから、その時期に限って開設しているものです。24日までには開設のために、指定地を示すポールや指定地までの誘導ポールを設置したり、簡易テントで作った携帯トイレブースを設置しました。
 


開設初日の25日には40張ほどの設営があり、その後27日には100張超のテントが設営され、かなりの賑わいをみせていました。
 
仮設野営地に宿泊される方はスキー、スノーボード目的が多いようです。今年は積雪がそれほど多くはなく、雪面にまだ出ている石などをよけて滑るのにひと苦労ですが、それでも今シーズン初めてであろう滑りを楽しんでおられたようです。
 
仮設野営指定地開設期間中の25日から27日にかけては、室堂平を訪れた野営者に携帯トイレを配布して、山岳地域における携帯トイレの普及を図るとともに、下山する方には携帯トイレに関するアンケートを回答いただき、みなさんの考えをお聞きしました。
回答からは、携帯トイレを利用したことがある方や山行に携帯トイレを持って行くと答えた方が回答者の半分程度いらっしゃって、携帯トイレが少しずつ普及していることを感じました。

29日からは天候が悪化する予報だったので、多くの方が29日に下山しました。仮設野営指定地での野営者もこの日には1組だけになってしましました。
 
30日は立山黒部アルペンルートの今シーズンの営業終了日です。静かになった室堂を後に、私たちも午前中にはすべての片付けを終えて下山しました。
 
積雪期の立山室堂では、積雪期利用ルールを定め、火山ガスによる立入禁止区域やライチョウ保護のための立入禁止区域が設定されています。多くの方々がこれらのルールを守り、適正な利用を行っていただいており、私たちも嬉しく思っています。
しかし、残念ながら立入禁止区域に入っている方もいたようです。また、仮設野営指定地の設営跡に残飯やたばこの吸い殻などを放置されている方もいました。美しい立山の景観を守り、安全で楽しい活動をいただくためにも、ぜひ利用ルールを守っていただけるように次年度以降も取組を行いたいと思います。
 

これから室堂平は静寂の時期に入ります。今シーズンに立山に来られた皆様、本地域の環境保全に対してたくさんのご協力をいただき、誠にありがとうございました。来年も美しい立山でありますように。
 
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