アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
登山靴にはどれだけの種子が付着しているのか?
2014年12月26日外来植物は多くの国立公園で問題になっていますよね。外来植物が持ち込まれる要因の一つとして、登山者の靴に付着して侵入することが挙げられます。そのため、白山では登山口に種子除去マットやブラシなどを設置して、登山前に種子を落として持ち込み防止に取り組んでいます。
ですが、そもそも登山靴にはどれだけ種子がくっついているのだろうと疑問に思いませんか?登山者が持ち込んでいると証明できるのでしょうか?
そんなわけで、白山ROでは登山靴の付着物を検証するため、夏期に山へ登った際には登山後、あるいは下山後に靴についた泥等を落として保存し、サンプルの採取に励んでいました!パークボランティアや関係者にも協力してもらい、42個のサンプルが集まりました。
採取の方法はいたって簡単です。
靴についた泥を歯ブラシで丁寧に落とします。そして薬包紙に包み日付や通過路を記録して保存します。
そして今月20日、石川県立自然史資料館のご協力をいただき、パークボランティアの有志と共にサンプルの分析作業を行いました。
おおまかな作業の流れは、
① 顕微鏡を使い、種子、植物片、その他の3つに分別。
② それぞれの重量を計測
③ 記録
さて、種子はあるのでしょうか。
とにかく地道で慣れない作業に疲れながらも頑張ります。そして・・・
発見しました!
砂や泥をかき分けていくと種子が混じっていました。傾向としては木道や石段を歩いた後は泥が落とされて付着物自体少なく種子もあまり付いていませんが、泥道を歩いた後はやはり泥に混じって種子も多いようです。中には10粒以上ついていた靴もありました。一見きれいそうな登山靴でも靴紐の隙間などに挟まっていたりするんです。
今回得られたデータのとりまとめはこれから行う予定で、種子の同定にもまだまだ時間がかかりそうです。このデータが今後の外来植物対策に役立てられるものになればと思います。