希少種の保護増殖事業について

希少種の保護増殖事業について

人間の手で積極的に増やさなければ絶滅してしまう希少野生動植物種については、関係行政機関や研究者、民間団体と連携しながら、生息地の保護や人工増殖の実施などを行っています。中部地方環境事務所では、種の保存法に基づき、以下の3種について繁殖の促進、生息地等の整備等の事業の推進をする必要があると認めて保護増殖事業計画を策定し、保護増殖の事業を行っています。

○イタセンパラ

写真:イタセンパラ1 写真:イタセンパラ2
 (写真提供:アクアトト・ぎふ)

イタセンパラは、コイ科タナゴ属の日本固有種です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧1A類(CR)とされており、天然記念物に指定されています。日本の魚ではないような名前ですが、板のように平らで(イタ)鮮やかな(セン)腹をもつ(パラ)ことが名前の由来といわれています。川の流れのない場所に住み、二枚貝の中に卵を産みます。日本では濃尾平野・富山平野・大阪平野の一部地域に生息地が残されております。

▽生息域外保全について

絶滅を回避するため人の手によって増殖させ保存していく必要があります。いきものを自然の生息地の外で人の手によって保存することを、生息域外保全といいます。中部地方環境事務所及び関係園館(アクアトト・ぎふ、岐阜県水産研究所、碧南海浜水族館、東山動物園)が中心となり、生息域外保全を実施し、将来の生息数減少にそなえた野生復帰の為の準備が進んでいます。

▽密猟防止対策のパトロールについて

2010年1月、愛知県でイタセンパラの密猟者が逮捕されました。関係機関によって構成される木曽川水系イタセンパラ保護協議会では、このような密漁を防止すべく、イタセンパラ密漁防止対策のための合同パトロール等をおこなっています。本種を保護するため、みなさまにご協力をお願いしております。

写真:第1回 合同パトロール
 合同パトロールの様子
写真:第2回 合同パトロール
 合同パトロールの様子

○ヤシャゲンゴロウ

写真:ヤシャゲンゴロウ1 写真:ヤシャゲンゴロウ2
 (写真提供:奥野宏)

ヤシャゲンゴロウは、コウチュウ目ゲンゴロウ科の日本固有種です。日本では、福井県にある夜叉ヶ池にしか生息していません。環境省のレッドリストでは絶滅危惧1B類(EN)としています。ヤシャゲンゴロウは夜叉ヶ池にのみ生息しますが、山岳道路の建設が進み、生息地近くまで人が容易に入り込めるようになったため、水質の汚濁等環境悪化による個体数の減少が憂慮されています

▽生息域外保全とパトロールについて

環境の改善に決め手がない中でヤシャゲンゴロウを保全していくためには、危険分散のため夜叉ヶ池の外で人の手によって増殖させていく必要があります。いきものを自然の生息地の外で人の手によって保存することを、生息域外保全といいます。福井県自然保護センター、越前松島水族館が中心となり、生息域外保全を実施し、将来の生息数減少にそなえた自然復帰の為の準備が進んでいます。

また、ヤシャゲンゴロウの密猟防止および生息環境の保全のために、地元住民を中心としたボランティアや、自然保護管理員によって、密猟防止のパトロールや登山者へのよびかけ等がおこなわれております。

写真:人工繁殖で生まれた幼虫
 人工繁殖で生まれた幼虫

○アベサンショウウオ

写真:アベサンショウウオ1 写真:アベサンショウウオ2
 (写真提供:長谷川厳)

アベサンショウウオは、有尾目サンショウウオ科の日本固有種です。生息地は京都府や兵庫県、福井県の一部に限られております。真冬の夜に繁殖し、繁殖行動では極端に光を嫌う、幼生は2月中旬から水中で発育成長する、といった不思議な生態をしています。環境省のレッドリストでは絶滅危惧1A類(CR)としており、生息地の攪乱や消失が進み、開発や違法採集によって絶滅することが懸念されています。また、アメリカザリガニによって幼生が捕食されることも生存を脅かす要因です。福井県ではアベサンショウウオが産卵する湧水を整備するなど保護活動をおこなっています。
学術的な内容は、環境省ちゅうぶ環境メールマガジン コラム(第24号)を御覧ください。

参考

パンフレット「中部地方の貴重ないきものたち」 [PDF 2,391KB] 

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