報道発表資料

2019年03月06日

平成30年度中部山岳国立公園上高地地域外来植物分布調査結果等について

 環境省上高地管理官事務所では、平成24年度から中部山岳国立公園上高地地域において信州大学山岳科学研究所及び上高地パークボランティアと協働で、外来植物の分布調査を実施しましたので、平成30年度までの結果をお知らせいたします。

1.経緯

 中部山岳国立公園上高地地域には、年間約120万人が訪れ、観光客や登山者、資材運搬・工事用車両等の移動に伴って、多くの外来植物が侵入・定着し、在来種や希少種の生育を脅かし、上高地地域の生態系や景観を乱すことが危惧されています。上高地地域の外来植物については、環境省に登録した上高地パークボランティア(※1)によって、平成11年から定期的に分布調査が開始され、除去活動も行われてきました。平成24年度からは、環境省上高地自然保護官事務所(現 上高地管理官事務所)、上高地パークボランティア、信州大学山岳科学研究所(渡邉修准教授)が協働で分布調査を開始しました。平成30年度も調査を継続し、過去の状況と比較しました。

 

 ※1 上高地パークボランティア

  国立公園における施設の維持管理、美化清掃、自然保護の普及啓発といった各種活動について、自発的に協

 力していただける方々をパークボランティアとして環境省が登録しています。

 

2.外来植物調査

(1)調査方法

  毎年6~7月(種によって同定し難い場合はこの限りではない)を中心に、上高地地域の平坦部(釜トンネ

 ル上~横尾地区)を踏査し、GPS機能付きのデジタルカメラで外来植物の撮影を行い、位置情報等を記録し

 ました。なお、外来植物が群生する場合は、1~10株の場合は1枚、11~99株の場合は2枚、100株以上の

 場合は3枚撮影。連続して群生する場合は約20歩おきに撮影しました。

(2)調査結果

 ・平成30年度調査では、撮影枚数にして1654枚、国内由来を含む57種の外来植物を確認しました。

  平成24~30年度調査で確認された種数は、国内由来を含む91種でした。【添付資料1】

 ・平成30年度調査において撮影枚数が多い種は、エゾノギシギシ、シロツメクサ、外来性タンポポ種

  群、ヒメジョオン等でした。 

 ・平成24~30年度調査で確認された外来植物の内、特定外来生物に指定されている種はオオハンゴンソウの

  1種、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」に掲載されている種はイタチハギ、

  フサフジウツギなどの23種でした。(表1)

 

表1 上高地地域で確認された特定外来生物及び

   我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト

 

図1 主な園路沿いの外来植物確認地点数

 ・大正池~横尾地区の園路沿いでは、ホテルや公園施設等の周辺で外来植物が多く確認されました。(図1)

  その他の区間では、施設周辺や道路・河川・砂防等の工事が行われた地点で外来植物が多く確認さ

  れました。

 ・平成24~30年度調査の経年変化では、外来植物全体の分布範囲は大きく変化しませんでしたが、

  ビロードモウズイカ等は、新たな場所に侵入していました。【添付資料2・3】

 ・メマツヨイグサは、平成24年度に125地点確認され、平成30年度には48地点で確認しました。平成

  26年度頃から、治山運搬路や明神地区周辺で集中的にメマツヨイグサの除去活動を行ったため、分

  布の縮小・低密度化が確認できました。【添付資料3-メマツヨイグサ】

 ・平成24年度調査ののち、平成30年度調査までに新規に確認された種は36種でした。平成24年度以

  降に侵入したと思われる種もありますが、同定をしやすい時期を把握できたことなど調査精度が上

  がったことも影響していると思われます。

3.外来植物対策

(1)除去活動

  上高地を美しくする会(上高地に携わる事業所・関係機関など)、上高地パークボランティア等が日常的に

 外来植物の除去を実施しました。平成30年度の除去量は260kgでした。

  オオハンゴンソウ(特定外来生物)については、平成24年に確認されたものを全て除去しましたが、平成

 25年度以降、埋土種子から発芽した幼苗が確認されているため、除去を継続しています。ヤエザキオオハン

 ゴンソウ(オオハンゴンソウの一種)も平成24年度の除去後、再発した株の除去を継続しています。平成30

 年度には、オオハンゴンソウと近縁の園芸種が確認されたため、除去を実施しました。【添付資料4】

 

図2 上高地を美しくする会(左写真)、安曇小学校生徒(右写真)による除去作業

 

(2)侵入防止対策

  沢渡ナショナルパークゲートに種子除去マットを設置したり、「上高地5つのルール」の1つとして啓発し

 たりしています。上高地内の工事は、許可手続きを行った上で上高地産の土石を使用しています。また、法に

 定められた種とは別に、上高地地域において特に注意すべき種を強健性・景観悪化・分布の急増・進入初期段

 階の観点から整理しました。

【上高地地域において特に注意すべき種】

 ・新たな場所に侵入し確認数が増加している種の中でも特に注意すべき種

   ビロードモウズイカ

   ムシトリナデシコ (その他の総合対策外来種)

   フランスギク (その他の総合対策外来種)

 ・発生個体の除去を行っているが継続的・断続的に発生し、特に注意すべき種

   オオハンゴンソウ (特定外来生物・緊急対策外来種)

   イタチハギ (重点対策外来種)

   オオアワダチソウ (重点対策外来種)

   キショウブ (重点対策外来種)

   ハリエンジュ (産業管理外来種)

   ブタクサ

   メマツヨイグサ

 ・平成29年度調査以降に侵入が確認された種の中でも特に注意すべき種

   オオブタクサ

   ハルザキヤマガラシ (その他の総合対策外来種)

   フサフジウツギ

   ブタナ

図3 景観に影響を及ぼしている外来植物の様子

左上:ビロードモウズイカ 右上:フランスギク

左下:メマツヨイグサ  右下:フサフジウツギ

 

4.今後の予定

 外来植物対策は、長期間の取り組みが必要なため、来年度以降も継続的な調査と対策を行っていく予定です。公園施設周辺や工事箇所で新たな種が確認されていますが、国立公園、山岳観光地として古くから多くの利用がある地域であるにも関わらず、オオハンゴンソウなどの特定外来生物が広範囲に定着していないことは、パークボランティアの方々などの早期発見と除去活動による成果と思われます。昨今では、一般利用者からの情報提供もあるため、幅広い情報共有に努めていきます。上高地を来訪される方々におかれましては、外来植物を侵入させないよう事前に靴の泥を落とすなど注意してください。

添付資料

■ 問い合わせ先
環境省信越自然環境事務所
中部山岳国立公園管理事務所
所長: 中野 圭一

担当者
環境省上高地管理官事務所
国立公園管理官: 木村 元
電話 0263-95-2032
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