ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2014年9月 9日

2件の記事があります。

2014年09月09日志賀高原の湿原

上信越高原国立公園 志賀高原 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、志賀高原からです。
長野県山ノ内町の志賀高原を特徴づける「池」と「湿原」と「原生林」を紹介するシリーズの2回目です。前回(8月22日)は「池」をいくつか紹介しました。
今回は志賀高原の「湿原」をいくつかを紹介します。これらは、ここ1ヶ月のうちに調査した歩道(登山道)沿いにあるものです。
なお、湿原内は木道を歩いてください。

【前山湿原】
標高約1,820mにある高層湿原です。
志賀高原で多くの人が訪れるトレッキングコースの一つ「池めぐりコース」の起点近くにあります。硯川バス停からリフトまたは徒歩で前山山頂まで上がると、渋池方面に前山湿原があります。

<前山湿原が写真奥に向かって広がっています。イワショウブの花が見ごろでした。8月15日撮影。>

前山山頂からの景色も見どころです。硯川地区の施設群、笠ヶ岳とスキー場、横手山、鉢山、志賀山といった近くの景色から、視界が良ければ、遠く北アルプスまで望むことができます。


【四十八池湿原】
標高約1,880mにある高層湿原です。志賀山と鉢山の間にあります。この湿原も「池めぐりコース」の途中にあり、前山湿原から約1時間のところにあります。
この湿原には木道が設置されており、湿生植物を間近に見ることができます。また、池塘が多くあり、中には浮島がある池塘もあります。
湿原の南側にはベンチ付きの東屋、北側にはベンチ付きのテラスがあるので、湿原を眺めながら休憩できます。
四十八池湿原は長野県指定天然記念物です。

<四十八池湿原の「池塘」と「浮島」。裏志賀山を望みます。8月15日撮影。>

<赤いのはモウセンゴケ、黄色い花はキンコウカ、奥のほうの白い花はイワショウブ。そのほかスゲの仲間やコバイケイソウなどが見られます。8月15日撮影。>


【田ノ原湿原】
標高約1,610mにある高層湿原です。国道292号線沿いにあります。
この湿原にも木道が設置されており、湿生植物を間近に見ることができます。湿原の南寄りにはテラスとベンチが設置され、湿原を眺めながら休憩できます。
また、この湿原からは笠ヶ岳の特異な山容を望むことができます。
田ノ原湿原も長野県指定天然記念物です。

<北端から南を望む。8月15日撮影。>

<奥ににょっきり笠ヶ岳。平成23年8月24日撮影。>


ところで、今回紹介した湿原はすべて「高層湿原」です。では、「高層湿原」とはどんな湿原でしょう?
「標高の高いところにある湿原」ではありません。「高層湿原」とは、泥炭が多量に蓄積されて周囲よりも標高が若干高くなったために地下水では涵養されず、雨水、雪解け水のみで維持されている貧栄養な湿原のことを言います。「周囲よりも高くなっている」ことがポイントです。
蛇足ながら、「低層湿原」は周囲より標高が若干低く、周辺からの水(川の水など)が流れこんでいる湿原です。また、高層湿原と低層湿原の中間的な特徴をもつ「中間湿原」もあります。

最後に、前回と今回の記事で紹介した「池」と「湿原」の位置図を載せます。



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2014年09月09日パークボランティアによる自然探勝路維持管理作業と黒沢池

上信越高原国立公園 妙高(~2015.3.26) アクティブレンジャー 大河内優子

 9月に入り初秋の爽やかな日が続いています。妙高高原ではもう半袖から長袖へと替わりつつありますが、皆様の町はいかがでしょうか?

 先日、パークボランティアの皆さんと笹ヶ峰キャンプ場周辺自然探勝路の維持管理作業を行いました。


夏の間に伸びた草刈りや枝打ち、危険な枯損木の撤去、歩道や水路の落ち葉かきなどの作業です。

【鎌や草刈り機を使って笹藪を刈ります】【落ち葉もきれいに】

 笹ヶ峰キャンプ場周辺にはいくつか自然探勝路がありますが、今回はキャンプ場上側の展望台コースと、下側の乙見湖脇を通る周遊コースを行いました。どのコースも1~1時間30分ほどで回れます。これから紅葉が始まり、また夏とは違った散策が楽しめると思いますので、ぜひ遊びに来て下さい。


 また併せて黒沢池のモニタリング調査を行いましたので、黒沢池のご紹介をします。
 妙高山と火打山の間にはいくつもの湿地が点在しており、黒沢池はそのうちの一つで妙高山の外輪山と黒沢岳、茶臼山の間に広がる草原と湿地帯です。

【茶臼山の麓に池塘が広がる】

【茶臼山中腹から見下ろした湿地】

【外輪山の三田原山(手前右)と妙高山(左奥)が見渡せます】

 ここの池の水は黒沢と呼ばれる沢になり、笹ヶ峰の乙見湖を経由して関川本流として日本海へと続いていきます。

【黒沢の源流】

 花は7月頃~チングルマ、ハクサンコザクラ、ワタスゲ、モウセンゴケ、イワイチョウ、8月頃~イワショウブ、ヒメウメバチソウ、今の時期ですとオヤマリンドウが見事に咲き誇り、開けた平坦な地形のため、汗もかかずに快適に風景を堪能しながら歩けます。

【オヤマリンドウ】

【オトギリソウの草紅葉】

【ミヤマセンキュウ】

 火打山に登られる方々にとって黒沢池は少し回り道をしなければなりませんが、一時間前後で高谷池や富士見平から行くこともできます。こちらまで足をのばしてみてはいかがでしょうか。


 黒沢池からは、大倉乗越の急登を越えて1時間15分ほど行くと長助池、また茶臼山を越えて1時間10分ほどで高谷池、さらにそこから15分ほどで天狗の庭へ行くことができます。これらの湿原や湿性のお花畑は、冬に降る大量の雪によって育まれています。

【高谷池】  【天狗の庭(逆さ火打)】

【天狗の庭手前。イワイチョウの黄葉が始まってきています】


 補足ですが途中登山道沿いに見つけたたくさんの山の実り。



 火打には一足早い山の秋の涼しい風が吹き抜けていました。
 これから実り多い秋山の登山が楽しみな季節です。

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