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中部地方環境事務所

藤前干潟協議会の歩み

藤前干潟協議会とは

はじめに

藤前干潟は、伊勢湾の最奥部に位置し、名古屋港に注ぐ庄内川、新川、日光川の3つの河川が合流する河口部に広がる場所です。かつて廃棄物処理用地として埋め立てる計画がありましたが、都市部にある貴重な生物生息場所として、市民活動によって保全された場所です。
藤前干潟では、平成14年に国指定鳥獣保護区に指定されて以来、国指定鳥獣保護区管理員による鳥類調査中部地方環境事務所による鳥類調査、その他任意団体等による鳥類調査が行われており、環境省自然環境局による渡り鳥調査の対象地でもあります。平成24年11月に指定期間が更新されましたが、指定当時と更新時でどのように確認された種が変化したのかを明らかにするため、調査しました。

方法

国設藤前干潟鳥獣保護区設定計画書(平成14年9月12日)及び国指定藤前干潟鳥獣保護区更新計画書(平成24年11月1日)の別表「生息する鳥獣類」において、種名・確認状況(○:確認された種、◎:一般的に見られる種)・環境省レッドリスト指定状況・種の保存法指定状況・文化財保護法の指定状況をリスト化して表を作成し、比較しました。

結果・考察

作成したリストは、表-1の通りです。

表-1 確認された種の比較 表-1 確認された種の比較 [JPEG 284KB]
確認された種数は平成14年時点で172種、平成24年時点で176種と、微増していました。
環境省レッドリストに記載された種の確認数は、平成14年時点で23種、平成24年時点で29種と増加していました。この理由は、平成24年のレッドリストの見直しにより、ハマシギを始めとするシギ・チドリ類の記載が増加したためですが、絶滅の危機に瀕する種が藤前干潟を多く利用していると見ることもできます。
平成14年時点と平成24年時点で確認傾向が変化していない種(○→○、◎→◎)は全部で116種でしたが、一般的に見られるようになった種(○→◎、記載なし→◎)は28種でした。一般的に見られるようになった種は、ツグミ科やヒタキ科、アトリ科など陸上性の鳥類で多くみられました。一方で、一般的ではなくなった種(◎→○)は11種あり、主にサギ科で多いという結果になりました。新規に確認された種は21種で、確認できなくなった種が20種という結果になりました。
このように、多くの種が平成14年時点と変わらず確認されているほか、新たに一般的に見られるようになった種も28種となり、藤前干潟及び周辺地域は10年前と変わらず鳥類の飛来・生息にとって非常に重要な場所であるといえます。