「名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場計画」に対する環境省意見について
2011年05月23日
「名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場計画」に対する環境省意見について
中部地方環境事務所
環境省では、現在、国土交通省中部地方整備局において検討が進められている「名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場計画」について、「戦略的環境アセスメント導入ガイドライン」に基づき、本日、同局に対して環境の保全の見地から意見を提出しました。
1.名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場計画の概要
名古屋港内における浚渫工事から発生する土砂を処分するため、「公共事業の構想段階における計画策定プロセスガイドライン」に従った手続を経て、新たな土砂処分場を設置しようとするもの。
事業の種類
公有水面の埋立て
事業者
国土交通省中部地方整備局
位置
未定
規模
受入土量:約3,800万m3
目的
名古屋港内の航路、泊地等の維持・整備において発生する浚渫土砂の処分
経緯
平成22年6月11日に計画策定プロセスの開始を発表
- ・
- ステップ1とステップ2の二段階で実施されている。
- ・
- ステップ1では、土砂処分場設置候補地を海域の4区域に設定するとともにその候補地を比較評価する項目を設定。
- ・
- ステップ2では、ステップ1で設定した4区域を比較評価し、その中から1区域を選定することとしており、現在(4月25日~5月24日)、パブリックコメントの募集を実施中。
- <詳細:中部地方整備局名古屋港湾事務所HP>
- http://www.pa.cbr.mlit.go.jp/NAGOYA/pro_PI/index.html
2.環境省意見の概要
○候補地区域a~d案から一案を選定するに当たっての配慮事項
- 区域a案(中部国際空港沖埋立て)
- 対象海域やその周辺では、環境省レッドリスト掲載種であるアカウミガメの産卵・上陸やスナメリの生息が確認されているため、これらの種への影響について、可能な限り定量的に予測・評価すること。
- 区域b案(四日市港内埋立て)
- 四日市港の沿岸部は閉鎖性が高く、土砂埋立てによる貧酸素化の進行等が懸念される。また、付近の干潟はシギ・チドリ類の渡来湿地となっている。水質、底質及び海生生物に対する影響や、シギ・チドリ類への影響等について、可能な限り定量的に予測・評価すること。
- 区域c案(伊勢湾中央部深場投棄)
- 大量の土砂を単に処分する目的で海域に投棄することは、環境への影響が甚大であることから、本案は慎重に検討されるべきである。
- 区域d案について(海洋投棄)
- 区域c案と同様に、単に処分する目的で海域に投棄することは、環境への影響が甚大であることから、本案は慎重に検討されるべきである。
○候補地の決定後における配慮事項
- ・
- 土砂処分場の施工位置、規模、形状等の決定に当たっても実現可能な複数案を設定し、環境影響の比較評価を行うこと。
- ・
- 各案の環境影響については、既存資料を中心とした現行の検討に加え、多様な野生動植物の生息・生育環境について詳細な現地調査や土砂処分場の位置、規模、形状等を反映した詳細な潮流及び水質シミュレーション等を実施し、土砂処分場周辺での局所的な影響のみならず、伊勢湾全体への影響について予測・評価すること。
- ・
- 浚渫土砂処分によって失われる海域環境について十分把握を行い、適切な代償措置について検討・評価すること。
3.今後の予定
本環境省意見、現在実施中のパブリックコメントの結果、検討委員会での検討結果を踏まえ、事業者である国土交通省中部地方整備局が地方公共団体とも連絡調整しつつ土砂処分の位置、方法等を決定することとなる。
<添付資料>
別紙:「名古屋港で発生する浚渫土砂の新たな処分場計画」に対する環境省意見[PDF 11KB]
参考:戦略的環境アセスメント[PDF 68KB]