白山国立公園における生態系維持回復事業の確認・認定について
白山国立公園における生態系維持回復事業の確認・認定について
中部地方環境事務所
近年、国立公園において、他地域から侵入した植物による在来植物の生育への影響、シカによる高山植物への食害など、生態系の維持が困難な事例が見られます。このため、環境省では、平成22年4月1日に自然公園法を改正し、「生態系維持回復事業」という制度を新たに設けました。同事業は、これまでの規制による保護に加え、積極的に生態系の維持、回復を図る事業を行うものです。
今般、中部地方環境事務所は、白山国立公園において白山生態系維持回復事業を行う者として、石川県及び環白山保護利用管理協会を確認及び認定しました。自然公園法に基づく、生態系維持回復事業を行う者の確認及び認定は、全国初です。
今後、これら二者及び他の関係機関等とも緊密に連携し、白山国立公園の生態系を維持、回復するための取組を進めていきます。
1.白山生態系維持回復事業について
白山は、残雪の多い高標高部にクロユリ、コバイケイソウ等の大群落に代表される豊富な高山植物が見られます。また、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ等のように白山にちなんだ名前の植物、希少種も多数あります。近年の登山者の増加等に伴い、外国産の植物等の人為的に持ち込まれた植物(以下、「外来植物」という。)の分布が拡大し、外来植物が、在来植物の生育に影響を及ぼしたり、在来植物と交雑するなど、生態系への影響が懸念されています。
白山国立公園では、外来植物を防除し原生的な生態系の維持・回復を図ることを目的に、平成22年12月に「白山生態系維持回復事業」を公園計画に位置づけ、平成23年1月には、「白山生態系維持回復事業計画」を農林水産省、国土交通省、環境省の三者で策定しました。同事業計画では、在来植物及び外来植物に関する調査研究、外来植物の防除、普及啓発の推進等を三省が連携して取り組むこととしています。
国以外の機関も確認又は認定を受けて同事業を実施できるため、今般、石川県及び環白山保護利用管理協会が確認及び認定を受けて同事業を実施することとなりました。
2.白山国立公園における外来植物対策
白山国立公園では、これまで関係機関によって様々な保護対策が行われてきました(別紙1参照)。今後は、白山生態系維持回復事業に基づき、これまでの対策の継続も含めて取組が強化されます。
また、除去作業は多くのボランティアの方々の参加の下で実施しており、今後もその協力が不可欠です。平成23年度に実施予定の除去作業は、別紙2を参照して下さい。