中部地方環境事務所

ここからメニュー ジャンプして本文へ

ここから本文 ジャンプしてメニューへ

TOPICS

中部地方環境事務所TOPICS>2009年度

【開催報告】セミナー「生物多様性と民間事業者の参画」を開催しました

2009.09.25 中部地方環境事務所

 中部地方環境事務所と中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)は、平成21年9月3日(木)にセミナー「生物多様性と民間事業者の参画」を愛知県名古屋市(ダイテックサカエマノアホール)にて開催しました。
 本セミナーには中部地方の企業を中心に多数の方々にご参加いただきました。

1.主催者挨拶

写真:田村省二 統括自然保護企画官
○中部地方環境事務所 田村省二 統括自然保護企画官

1.第1部 生物多様性民間参画ガイドラインについて

 環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室 鈴木室長補佐より、平成21年8月に環境省が策定した生物多様性民間参画ガイドラインの概要説明がありました。
 生物多様性民間参画ガイドラインの構成や内容の他、ガイドライン作成の背景として生物多様性国家戦略等についても併せてご紹介しました。

2.第2部 中部地方の民間事業者の一層の理解と活動促進に向けて

(1)講演

 IUCN(国際自然保護連合)日本プロジェクトオフィス 古田尚也シニア・プロジェクト・オフィサーより、生物多様性保全に向けて民間事業者等が取組む際の考え方や取組事例について講演がありました。生物多様性がビジネスとの関わり、IUCNとビジネス界との協働の取組など幅広くお話をいただきました。
 また、名古屋大学エコトピア科学研究所の林希一郎教授より生物多様性と経済に関する国際的な動きについて講演がありました。市場における生物多様性の価値の認識、生物多様性オフセット、生態系サービスへの支払いといった、世界で議論又は実践されている経済を生物多様性に組入れようとする動きについてご紹介いただきました。

写真:IUCN(国際自然保護連合)古田尚也 氏
○IUCN(国際自然保護連合)古田尚也 氏

写真:名古屋大学エコトピア科学研究所 林希一郎 氏
○名古屋大学エコトピア科学研究所 林希一郎 氏

(2)質疑応答、意見交換

 中部環境パートナーシップオフィスの新海チーフプロデューサーのコーディネートにより、質疑応答を行いました。セミナー参加者から、「生物多様性・生態系サービス」、「生物多様性とビジネス活動」、「市場メカニズム」等のテーマごとに質問を受け、両講師からご回答頂きました。
 「市場メカニズム」のテーマでは、「生物多様性とマーケットに関する最新動向を教えて欲しい」という質問があり、林氏より生物多様性、もしくは生態系サービスの価値に関するマーケット(市場)をつくるということは、環境負荷にかかるコスト(特に、生物多様性の保全にとって外部不経済となっている部分)を市場価格に内部化するといったことである。生物多様性の価値の評価や、生物多様性オフセットなどの個別のツールに関する議論は進んでいるものの、こうした価値の取引を前提とした金融市場の設立というところまではまだまだ議論が至っていない、というお話がありました。
 また、古田氏よりTEEB(生態系と生物多様性の経済学)等のように生物多様性を経済的に評価しようとする流れに近年注目が集まっているが、他方で、生物多様性にはその存在自体に固有の価値があり、金銭的に価値を評価できないという考え方も、同様に根強くあるといった回答をいただきました。

写真:質疑応答
○質疑応答

写真:中部環境パートナーシップオフィス 新海 氏
○中部環境パートナーシップオフィス 新海 氏

 今回のセミナーでは、「生物多様性民間参画ガイドライン」の内容のみならず、企業をはじめとする民間事業者の活動に、生物多様性の保全と持続可能な利用という考え方を統合していくということが国際的に求められるという背景についても、御理解いただけたものと思います。
 民間事業者の皆様には、生物多様性関して生じるリスクを減らし、チャンスを掘り起こすため、「生物多様性民間参画ガイドライン」をヒントとして活用していただければと思います。

各講師の講演内容及び質疑応答・意見交換の詳細は、後日環境省中部環境パートナーシップオフィスのホームページ(http://www.epo-chubu.jp/)に掲載される予定です。