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【お知らせ】平成21年度 中部地方環境事務所重点施策について
2009.04. 中部地方環境事務所
中部地方環境事務所は、中部7県(富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、愛知県及び三重県(※))を管轄する環境省の地方支分部局として4年目を迎えました。
これまで、世界や全国と地域、あるいは中部地方の自治体やNPO、企業等をつなぐ核として、各主体との連携・協働の下、地域に軸足を置いた環境施策を進めてきましたが、こうした機能を一層発揮すべく取り組んでいきます。
特に平成21年度においては、愛知県名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催を控え、中部地方において生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策を展開する旗手としての役割を担っていきます。
また、中部地方において環境保全と経済成長・地域活性化が共に進んでいくよう、あらゆる施策を通じて取り組んでいきます。
(※)国立公園及び国指定鳥獣保護区に関する管轄区域の特例として、新潟県及び群馬県の一部が含まれます。
1.生物多様性の保全と持続可能な利用に関する動きを中部地方に広げていきます
平成22年(2010年)10月に、愛知県名古屋市でCOP10が開催されます。会議の成功に向け地元自治体やNPO、企業等と連携を深め気運の向上を図るとともに、これを契機として、いまだ認知度が低い状況にある「生物多様性」を愛知県・名古屋市のみならず中部地方全体にわたり広く浸透させていきます。
- (1)市民や企業、自治体の参画の促進
- 市民に生物多様性を自分たちの生活と身近なものとして感じてもらうことをねらいとして、NPOと連携した普及啓発のためのワークショップを各地で開催します。
また、中部地方において生物多様性の保全と持続可能な利用に配慮した企業活動を推進するため、「生物多様性企業活動ガイドライン(仮称)」を説明するセミナーを展開します。
自治体においては、平成20年に制定された生物多様性基本法に基づき「生物多様性地域戦略」の策定が期待されているところであり、中部地方の自治体がその先駆けとなるよう、生物多様性地域戦略ガイドラインの普及を図ります。 - (2)生物多様性の普及啓発に資する施設の運営
- 名古屋に残された貴重な干潟である国指定藤前干潟鳥獣保護区(愛知県:ラムサール条約湿地)をフィールドとして、各施設において生物多様性の重要性をアピールする各種展示、イベント等の実施に取り組みます。また、その他の国立公園のビジターセンター等においても、地域の生物多様性に関する情報発信拠点として普及啓発に努めます。
- (3)生物多様性の保全と持続可能な利用に関する地域での取組の推進
- 環境省では、地域における生物多様性の保全・再生に資する活動費等を支援する「生物多様性保全推進支援事業」(事業主体は、自治体、NPO、地域の活動団体等から成る協議会)を平成20年度から実施しています。
中部地方環境事務所管内では、平成21年度からの新規事業も含め下表の8事業が採択されており、これらの事業の適切な実施に向けて、協議会に対して必要な助言や指導を行っていきます。「生物多様性保全推進支援事業」採択事業
※( )内は、協議会に参画する自治体名
- 千曲市生物多様性保全事業(千曲市)
- 富士見町アツモリソウの里環境保全事業(長野県富士見町)
- いしかわの里山の生物多様性保全再生事業(石川県)
- かが里山イヌワシの森再生事業(加賀市)
- 中池見における湿生希少野生動植物の保全管理ならびに賢明な利活用推進事業(敦賀市)
- 東三河生物多様性保全事業(愛知県)
- 名古屋ため池生き物いきいき計画事業(名古屋市)
- 田原市アルゼンチンアリ対策事業(田原市)(平成21年度新規)
- (4)効果的な広報活動の推進
- 中部地方環境事務所には、環境省本省からの全国的又は国際的な動きに関する情報を地域に伝えたり、中部地方における生物多様性の保全と持続可能な利用に関する動向やCOP10に向けた様々な情報のハブとなったりという情報交流プラットフォームとしての機能が求められます。
このため、中部地方環境事務所ホームページの充実を図るとともに、中部地方環境事務所広報誌『ちゅうぶの環(わ)』においてもこうした情報を毎号詳しく伝えます。 - (5)所内の推進体制の強化
- 上記に掲げる各種事業の展開、関係団体との連絡調整等を効果的に進めるため、中部地方環境事務所内の推進体制の強化を図ることとし、平成21年4月1日付けで所内に「COP10推進チーム」(チームリーダー:統括自然保護企画官)を設置します。
2.地域との協働により自然環境の保全と整備を推進します
我が国を代表する風景地である国立公園は、生物多様性を保全するための屋台骨としての役割を担っています。中部地方には上信越高原、中部山岳、白山、伊勢志摩の各国立公園が位置し、面積で全国の国立公園の約4分の1を占める自然豊かな地域です。これらの国立公園をはじめ、地域と協働して自然環境の保全・整備を推進するための取組を進めます。
- (1)国立公園の公園計画の見直し
- 国立公園では、その保護及び適正な利用の推進を図るため、公園ごとに公園内の規制の度合や利用施設の位置等を決める「公園計画」を定めています。
上信越高原国立公園(志賀高原地域)に関して全般的な見直し(再検討)作業を進めるとともに、上信越高原国立公園(妙高・戸隠地域)及び白山国立公園に関して定期的な見直し(点検)を行い、白山国立公園については平成21年度春の中央環境審議会に諮ります。 - (2)国立公園管理計画の改定
- 国立公園のきめ細かな管理を行うために、地域ごとに「管理計画」を定めています。
上信越高原国立公園(草津万座野反四万・菅平・浅間地域)及び中部山岳国立公園(南部地域)について、この管理計画の改定を行います。また、白山国立公園についても、優れた自然を生物多様性の観点から保護するとともに、現在検討中の多様な主体による参加型管理運営体制の活用を踏まえながら管理計画を改定します。 - (3)国立公園整備事業・グリーンワーカー事業の推進
- 生物多様性の保全と持続可能な利用や、低炭素社会の実現に配慮した利用施設の整備を図るとともに、外来種対策や沿岸清掃活動等の環境保全活動を地域協働により実施します。上信越高原国立公園については、直轄整備計画を策定します。
- (4)エコツーリズムの推進
- 自然を守りながら、ふれあい、遊び、学ぶ観光を行うことにより地域の活性化を図る「エコツーリズム」の取組を推進します。特に、三重県鳥羽市が平成21年度に「エコツーリズム推進法」に基づく協議会の立上げを目指していることを踏まえ、協議会における議論に必要な素材を調査する等の支援を行います。
- (5)国立公園の総点検の実施
- 全国の国立・国定公園の再評価を行う「国立・国定公園総点検事業」が全国4か所でモデル的に進められていますが、そのうちの一つである白山国立公園及びその周辺地域において、新たな視点に基づく自然環境等の調査と調査結果に基づく再評価を行い、公園のあり方を検討します。
3.人と野生生物との豊かな関係を確保するための取組を進めます
全国的又は国際的な見地から鳥獣の保護を図るべき重要な地域について「国指定鳥獣保護区」として適切に管理するなど野生生物の保護を進めるとともに、動植物による様々な被害を防ぐことにより、人と野生生物との豊かな関係を確保します。
- (1)国指定紀伊長島鳥獣保護区の指定の更新
- 国指定紀伊長島鳥獣保護区(三重県)は、平成21年10月末日をもって現行の計画期間が満了となりますが、現在も特に鳥類の良好な集団繁殖地となっていることから指定を更新し、区域の自然環境保全に努めることとします。
- (2)片野鴨池保全事業の実施
- 平成19年度から実施している国指定片野鴨池鳥獣保護区(石川県:ラムサール条約湿地)の保全事業に引き続き取り組み、平成20年度に作成した基本構想基本計画に基づいて実施計画を策定します。また、緊急的な対策が必要となる侵入防止柵について設置工事を行います。
- (3)鳥獣による被害防止対策調査の実施
- 国指定浅間鳥獣保護区(群馬県、長野県)において、鳥獣の保護管理を適切に行うため、生息する鳥獣の種類及び生息数の変化等を把握し、鳥獣による被害防止対策を講じます。
- (4)外来生物の防除対策の推進
- 近年、特定外来生物であるアルゼンチンアリの増加が確認されている地域があります。平成20年度まで実施した愛知県田原市に続き、岐阜県各務原市においてモデル的防除手法の開発に取り組みます。
また、山岳地域に侵入が見られるオオハンゴンソウ等の外来植物除去に努めます。 - (5)高病原性鳥インフルエンザ対策の推進
- 野鳥における高病原性鳥インフルエンザについては、近隣国や国内での発生状況に応じ、日常的な監視を強化し早期発見に努めるととともに、発生時にはウィルス保有状況調査等を実施し、感染の拡大防止に取り組みます。
- (6)ペットフード安全法の施行に伴う動物愛護施策の推進
- 平成20年に制定された「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)が平成21年6月から施行されるのに伴い、法の普及啓発に努め、飼料の安全性の確保を図ることにより、動物の愛護に寄与する主旨の周知徹底を図ります。
4.パートナーシップにより持続可能な地域づくりに取り組みます
地域での環境パートナーシップ形成促進拠点の運営を行うとともに、持続可能な地域づくりを主役となって支える人づくりを進めます。
また、京都議定書で約束した温室効果ガス排出の6%削減目標の達成に向けて、中部地方がその先導的な役割を果たしていくよう、地域の自治体や企業、NPOとともに、低炭素型の地域づくりに取り組みます。
また、京都議定書で約束した温室効果ガス排出の6%削減目標の達成に向けて、中部地方がその先導的な役割を果たしていくよう、地域の自治体や企業、NPOとともに、低炭素型の地域づくりに取り組みます。
- (1)地域の環境パートナーシップ形成の支援拠点の運営
- 中部地方の持続可能な地域づくりを実現する市民やNPO、企業、行政等による「環境パートナーシップ」の取組をサポートする支援拠点として、各主体の協働により、中部環境パートナーシップオフィス(EPO中部)の運営を行い、地域でのパートナーシップ形成を通じた地域環境力の活性化と支援を推進します。
- (2)持続可能な地域づくりを担う人づくりの推進
- 環境教育・学習を推進する学校教員や地域で環境活動を実践するリーダー等を対象として「環境教育リーダー研修」(平成21年度は愛知県内で実施)を行うとともに、環境保全活動を行おうとする者に助言等を行う「環境カウンセラー」の資質及び能力の向上を図るための研修を行います。
また、持続可能な開発のための教育(ESD)を普及促進するためのフォーラム等を開催します。 - (3)自治体による地球温暖化対策の取組への支援
- 平成20年の「地球温暖化対策推進法」の改正において、県及び特例市以上の市に対して地域の計画(新実行計画)の策定が義務化されるなど、地球温暖化対策における自治体の役割の重要性が増しています。地域の様々な対策事例に関する情報のストックを生かして、こうした自治体の取組の支援を図ります。
- (4)地域における草の根の地球温暖化防止活動の展開
- 地域の創意工夫を生かした地球温暖化対策の取組の展開を図るため、各県の地球温暖化防止活動推進センターとの協働により、ストップ温暖化「一村一品」大作戦の事業を通じて、こうした取組を実践している市民団体の活動を中部地方環境事務所ホームページで紹介するとともに、団体間の連携・交流のための支援を行います。
- (5)中小事業者による環境配慮の取組の促進
- 事業者の環境に配慮した経営への自主的な取組を支援するため、中小事業者でも容易に取り組める環境経営システムである「エコアクション21」認証・登録制度を広めます。平成20年度に名古屋市でセミナーを開催したのに続き、平成21年度は主に北陸地域の中小事業者を対象としたセミナーを開催します。
5.地域に根ざした3Rの取組や不法投棄対策等を促進します
中部地方の地域特性や廃棄物の性質に応じた「地域循環圏」形成の促進を図るとともに、全国をリードする3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取組を広げていきます。
また、国の機関や自治体等との連携・協力により、廃棄物の不法投棄の未然防止対策、不適正な輸出入防止対策を推進します。
また、国の機関や自治体等との連携・協力により、廃棄物の不法投棄の未然防止対策、不適正な輸出入防止対策を推進します。
- (1)「地域循環圏」の構築に向けた検討
- 地域の特性や廃棄物の性質に応じて最適な規模の循環を形成する「地域循環圏」づくりを進めるため、学識経験者や事業者等から成る協議会を設置し、食品リサイクルの事例を通じて、地域循環圏構築のための調査・検討を実施します。この結果を、食品リサイクルに関するモデル事業の実施につなげていきます。
- (2)「中部発」の3Rの取組の展開
- 3Rについての具体的な取組が地域で広がっていくよう「3R推進中部地方大会」を開催します。
また、地域のNPO等との連携により、中部地方におけるレアメタルの回収の可能性についてモデル調査を実施し検討するとともに、中部地方で大きな広がりを見せているレジ袋の有料化に続く容器包装の削減の取組について検討を行います。
家電リサイクル法・自動車リサイクル法等の適正な施行を担保するため、関係事業者への立入検査を実施します。 - (3)廃棄物の不法投棄の撲滅・不適正な輸出入防止
- 規模の大小を問わず、廃棄物の不法投棄の撲滅を目指します。このため、自治体や各県警察等と連携して、パトロールや検問を実施するとともに、監視カメラの設置を進めます。さらに、5月30日からの1週間を「不法投棄監視ウィーク」として設定し、これらの取組を強力に推進するほか、不法投棄撲滅のための普及啓発を行います。
また、税関と協力して、廃棄物の不適正な輸出の防止のための水際での検査を強化します。