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信越自然環境事務所

報道発表資料

2022年07月14日
  • 報道発表

中央アルプスにおけるライチョウのケージ保護及び孵化の状況について

 環境省では、中央アルプスにおいてライチョウ個体群復活事業を進めています。令和4年6月27日(月)から今年度のケージ保護事業を開始し、7月14日(木)現在5家族(雌5羽+雛24羽)を保護しています。今後駒ヶ岳周辺で孵化した1家族を加え、最大6家族を保護する可能性があります。
 環境省の調査と株式会社ヤマップのライチョウモニターに寄せられた情報を合わせると今年確認された17つがいのうち13つがいで雛の孵化を確認しました(ケージ保護家族を含む)。このほか1家族は抱卵中であることが確認されています。

1.中央アルプスにおけるライチョウの繁殖数について

  • ▶中央アルプスにおける生息数の変化
 
平成30年度8月 飛来雌1羽を確認
令和2年度8月 (乗鞍岳から家族移植終了時点)
20羽(移植個体19羽+飛来雌1羽)
令和3年度6月 少なくとも18羽の生存を確認
なわばり数8(雄8羽雌10羽、一夫二妻なわばり2つ)
令和3年度8月 11羽を動物園に移送
令和4年度6月 なわばり数17
(あぶれ個体や一夫二妻などを含め40羽程度が生息している可能性

2.中央アルプスにおけるケージ保護の状況(表1)

中央アルプスにおけるケージ保護の状況(表1)

 なお、ケージに誘導できる範囲でもう1家族が発見された場合には、6家族目として保護する可能性があります。

3.ケージ保護していない家族の孵化状況

 ケージ保護した5家族以外に、環境省の調査で6家族、株式会社ヤマップのライチョウモニターにより2家族の孵化を確認しました。この他1家族は抱卵中とみられています。このため、6月中旬までに確認された17なわばりのうち、これまでに13なわばりで雛が孵化し、1なわばりが抱卵中であることが確認できました。
<現在生存している雛の最大数>
ケージ保護中 5家族雛24羽(上記表1参照)
ケージ保護していない家族(環境省確認) 6家族雛29羽
(4家族が雛6羽、1家族が雛5羽。1家族は孵化後にすべての雛を消失。死亡要因は不明。)
登山者情報のみ(YAMAPライチョウモニターより) 2家族最大 13羽*
 
*ライチョウモニターによる雛数は登山者が撮影した写真やコメントを参考にしている ため、実際の雛数を反映できていない可能性があります。今後環境省による調査により雛数を確認する予定です。ライチョウモニターは登山地図GPSアプリ「YAMAP」を用いた一般登山者参加型のライチョウ生息域調査事業です。詳細はこちらからご確認ください。
(ライチョウモニターURL  https://mag.yamap.com/magazine/35109

 なお、現時点で成鳥と雛の合計が100羽を超えている可能性がありますが、中央アルプスにおける個体群復活事業の目標数(上限50つがい~下限30つがい)は繁殖に参加可能な成熟した個体数を対象としています。そのため、環境省ではその年に生まれた雛が生存・成熟し繁殖に参加できるようになる翌年の6月の繁殖個体数を生息個体数の基準としており、現時点で目標達成の可否については判断できません。

4.今後の予定

 中央アルプスで実施されているケージ保護は7月末から8月上旬まで実施する予定です。動物園からの野生復帰については、8月上旬を予定していますが、野生復帰させる家族数は孵化した家族の数や野生復帰事前チェック項目に従って決定します。那須どうぶつ王国及び長野市茶臼山動物園の繁殖状況については状況に応じて各園から報道発表を行います。

お問い合わせ先

環境省信越自然環境事務所(直通:026-231-6573)
野生生物課長:有山 義昭
生息地保護連携専門官:小林 篤