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信越自然環境事務所

報道発表資料

2024年09月11日
  • 報道発表

令和6年度中央アルプスにおけるライチョウの野生復帰事業の実施について

 中央アルプスにおけるライチョウ野生復帰実施計画に基づき、令和4年度、5年度に引き続き本年も野生復帰を実施する。
 これまでは令和3年に中央アルプスから日本動物園水族館協会加盟園館(JAZA)に導入した家族を元に野生復帰が実施されてきたが、今回は平成25年、26年に卵で導入した個体の系統で初めて野生復帰を実施する。
 令和6年は、那須どうぶつ王国、長野市茶臼山動物園、市立大町山岳博物館、いしかわ動物園の4園で野生復帰候補となる雛の飼育をおこなってきたが、腸内細菌等の事前検査の結果、市立大町山岳博物館で飼育している雛8個体、那須どうぶつ王国で飼育している雛2個体の計10個体を野生復帰することに決定した。
 動物園から中央アルプスへの移送は9月17日に実施し、現地で1週間程度保護した後、放鳥する予定。

1.これまでの中央アルプスにおける野生復帰事業の結果

令和3年8月1日
 中央アルプスに生息する野生家族の動物園への導入
 ①那須どうぶつ王国:7個体(雌1、雄雛2、雌雛4)
 ②茶臼山動物園:4個体(雌1、雄雛1、雌雛2)
令和4年8月10日
 那須どうぶつ王国から雌3個体と雛16個体、茶臼山動物園からは雌2個体、雄1個体の合計22個体を野生復帰させました。
令和5年9月26日
 この年の那須どうぶつ王国及び茶臼山動物園での繁殖失敗を受け、両園に残っていた放鳥可能な中央アルプス由来の系統3個体について放鳥を実施しました。

2.野生復帰させた個体の生存状況

 令和4年に野生復帰させた22個体については、令和5年に10個体が確認され、今年はこれまでに雌5個体、雄1個体の計6個体が確認されています。令和5年に野生復帰させた雄2個体、雌1個体については全ての個体の生存が確認されています。

3.令和6年度の繁殖状況

 ライチョウの野生復帰においては野生型の腸内細菌叢確立とアイメリア原虫への抵抗性を獲得させることが重要な課題でした。保険集団*1の個体は野生個体と大きく腸内細菌叢が異なることから、今年度は野生復帰を目指す全ての園で人工育雛とし、産まれた雛に野生個体の凍結乾燥糞末の投与と高山植物の給餌によって菌叢確立を試みました。さらに、野生個体の糞から抽出したアイメリア原虫を付与することで、この原虫への抵抗性を獲得しました。
表1.令和6年度野生復帰候補個体の飼育状況

 令和6年は、那須どうぶつ王国、長野市茶臼山動物園、市立大町山岳博物館、いしかわ動物園の4園の計6雌で繁殖に取り組み5雌から25個体の雛が誕生しました。これらの雛について放鳥に係わる事前検査を行ったところ、市立大町山岳博物館、那須どうぶつ王国の雛について全ての基準をクリアしたことから両園で飼育している合計10個体の雛について9月17日に中央アルプスへ移送することが決定しました。移送した後は1週間程度ケージで保護し、現地環境に慣したうえで放鳥する見込みです。
 いしかわ動物園及び茶臼山動物園で飼育している計6個体については今後も各園で飼育を継続する見込みです。

*1平成27年、28年に乗鞍岳から卵で動物園に導入した個体の系統。卵で導入したため親から腸内細菌やアイメリア原虫を引き継いでいなかった。

4.ライチョウ移送日の報道対応について

 移送当日については、千畳敷に9月17日午後到着する見込みです。当日取材については野生復帰個体を収容する頂上山荘周辺で行います。移送中の取材は対応できかねますのでご了承ください。取材終了は夕方になるため取材には宿泊を伴う必要があります。そのため、取材に関する詳細については以下連絡先までお問い合わせください。なお、個体の放鳥時にも頂上山荘にて取材対応を検討していますが、予告なく予定が変更になる場合もございます。あらかじめご了承ください。なお、悪天候等により移送が延期になった場合は改めてご連絡いたします。

お問い合わせ先

環境省信越自然環境事務所 野生生物課 小林
TEL:026-231-6573
E-mail:NCO-NAGANO@env.go.jp