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信越自然環境事務所

報道発表資料

2023年07月07日
  • 報道発表
  • 結果報告

令和5年度中央アルプスにおけるライチョウ生息個体数及びケージ保護状況について

 令和2年度から中央アルプスにおけるライチョウ個体群復活事業が本格的に開始されました。令和5年度で7月3日までに中央アルプス全域で確認されたなわばり数(痕跡や目撃情報等からの推定含む)は暫定で29個でした。なわばりを持てなかった雄(あぶれ雄と呼ぶ)を含めた全生息個体数は71個体となりました。
 未だ確認できていない個体もいるものと思われることから、最終的な生息個体数は80個体程度になる見込みです。
 野生復帰させた22個体のうち、令和5年度の4月以降に確認できた個体は雄1個体、雌3個体の合計4個体です(これらの個体は上記71個体に含まれています)。
 6月28日から中央アルプス現地におけるケージ保護事業が開始され、7月3日までに4家族計21個体の雛を保護しています。このうち1家族は昨年那須どうぶつ王国から野生復帰させた個体が親となった家族です。

1.中央アルプスにおけるこれまでの事業概要

平成30年7月   登山者から雌1個体の情報が環境省に寄せられました。
令和2年4月   「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」が策定され、中央アルプスにおける個体群復活事業が計画内に明記されました。
令和2年6~8月 動物園からの卵による野生復帰(孵化後全羽死亡)及び乗鞍岳からの家族移植(3家族19個体)を実施しました。
令和3年6~8月 中央アルプスで孵化した雛のケージ保護を開始。
那須どうぶつ王国及び茶臼山動物園への家族導入(2家族11個体)を実施しました。

令和4年6~8月 中央アルプスで孵化した雛のケージ保護を実施。

2.生息個体数(毎年春時点での個体数)について

<これまでの個体数の変化>
平成30年から令和2年 1個体
令和3年 推定18個体
令和4年 推定41個体

<令和5年の個体数>
 令和5年4月下旬から7月3日までの調査により、宝剣岳より北部の地域で15個、南部の地域で14個、中央アルプス全域で合計29個のなわばりが確認されています。この中には一夫二妻のなわばりも含まれるため、繁殖個体数については雄28個体、雌32個体の合計60個体でした。また、なわばりを持つことができなかった雄が少なくとも11個体確認されているため合計生息個体数は71個体です。ただし、まだ発見できていない個体もいると考えられるため、最終的な生息個体数は80個体程度になる見込みです。

3.野生復帰個体の生存状況

<令和4年度の野生復帰結果>
 那須どうぶつ王国
  3家族(雌成鳥3個体+雛16個体)
 茶臼山動物園
  雄成鳥1個体、雌成鳥2個体 合計22個体

<令和4年度秋時点での確認状況>
 令和4年8月10日に上記2つの動物園から個体をヘリコプターで移送し、8月14日までにすべての個体を放鳥しました。放鳥個体については10月末までの調査で成鳥2個体、雛6個体の計8個体が確認されていました。雛に限って見ると放鳥から10月末までの約2ヶ月半の生存室は37.5%でしたが、ケージ保護個体についてもほぼ同様の期間の生存率は34.3%と同程度でした。

<令和5年度の確認状況>
 令和5年度4月末以降の調査で確認された野生復帰個体は、雄1個体、雌3個体の合計4個体です。このうち那須どうぶつ王国から野生復帰させた個体が3個体、茶臼山動物園の個体が1個体となっています。那須どうぶつ王国の個体はすべて昨年動物園で生まれた雛個体、茶臼山動物園の個体は令和2年度に乗鞍岳から中央アルプスに移送された際の親個体で、令和3年に動物園に導入された個体でした。

4.ケージ保護状況

 6月28日からケージ保護を開始し、現在4家族(雌成鳥4個体+雛21個体)を保護しています。
 
A家族 6月29日ケージ収容 雛6個体 平成30年に飛来が確認された雌  
B家族 7月2日ケージ収容 雛5個体
 令和3年に茶臼山動物園へ導入した際の親個体で昨年中央アルプスに戻った雌個体
C家族 7月2日ケージ収容 雛6個体                
 那須どうぶつ王国からの野生復帰した雌個体(野生復帰時雛だった個体)
D家族 7月3日ケージ収容 雛4個体 中央アルプス生まれの雌個体   

5.今後の事業について

 今後も中央アルプス全域の生息状況調査を継続し、より正確な生息個体数の特定や野生復帰個体の生存状況の確認に努めます。ケージ保護については7月末まで4家族程度の保護を継続していく予定です。また、サルの追い払いや捕食者対策についてもケージ保護期間を中心に実施します。

6.その他

 ケージ保護等について現地での取材を希望される者は下記連絡先まで7月13日(木)17時までにご連絡ください。希望社が複数ある場合などは公開日を設けての対応も検討します。

  連絡先:環境省信越自然環境事務所 野生生物課 小林
  TEL:026-231-6573  E-mail:NCO-NAGANO@env.go.jp

お問い合わせ先

信越自然環境事務所野生生物課 小林(026-231-6573)