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信越自然環境事務所

報道発表資料

2021年08月03日
  • その他

中央アルプスでケージ保護したライチョウ家族の動物園への移送結果について

環境省ではライチョウが絶滅した中央アルプスにおいて、ライチョウの個体群復活事業を進めています。7月上旬からは高山帯に設置した保護用ケージにて計5家族のライチョウ家族を保護してきました。このたび8月3日(火)に公益社団法人日本動物園水族館加盟園館である那須どうぶつ王国へ雌親1羽と雛6羽、長野市茶臼山動物園へ雌親1羽と雛3羽をヘリコプター及び車により移送しましたので報告します。

1.事業概要

 環境省では、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき、文部科学省・農林水産省と共同で策定した「ライチョウ保護増殖事業計画」(平成24 年1月)により、ライチョウの保護増殖事業を進めています。そのうち、平成30 年に約50 年ぶりにライチョウの雌1羽が確認された中央アルプス駒ヶ岳周辺において、「第二期ライチョウ保護増殖事業実施計画」(令和2年4月)及び「中央アルプスにおけるライチョウ野生復帰実施計画」(令和3年3月)に基づき、中央アルプスの個体群を復活させるための事業を進めています。

2.事業の実施状況について(表1参照)

 7月上旬から中央アルプスで孵化したライチョウ家族をケージ保護しました。7月10日までに雌親5羽と雛34羽の保護を開始し、8月2日までに雛9羽が死亡しました。このたび8月3日にケージ保護した5家族のうち2家族について、公益社団法人日本動物園水族館加盟園である那須どうぶつ王国及び長野市茶臼山動物園へ移送を行いました。移送の詳細については以下のとおりです。なお、動物園へ移送しなかった3家族については8月2日までに放鳥しました。また、ケージ保護していなかったライチョウ家族については7月27日に行った報道発表に加え、新たに1家族が確認され、5家族が確認されました。8月3日時点でケージ保護していないすべての家族の雛数は確認できておりませんが、2家族を移送した後の中央アルプスでは最大8家族37羽の雛が生存しており、成鳥を加えると50羽以上が生存している可能性があります。

<移送結果>

  7:40 中央アルプス頂上山荘周辺 ヘリコプター到着
  7:44 中央アルプス頂上山荘周辺 ヘリコプター出発
  8:14 長野市へリポート ヘリコプター到着
      ライチョウ家族を自動車へ乗り換え、長野市茶臼山動物園へ移送開始
  8:45 ヘリコプターの給油を終え、ライチョウ家族を那須どうぶつ王国へ向け出発
  8:57 長野市茶臼山動物園 ライチョウ家族着
      その後9:08に飼育舎にライチョウを放鳥し様子を観察
  9:45 那須どうぶつ王国 ヘリコプター到着
      その後9:56に飼育舎にライチョウを放鳥し様子を観察
  10:10 両園でライチョウ家族が飼育舎で落ち着いていることを確認

<移送家族>

 長野市茶臼山動物園 頂上山荘側ケージ2 雌親1羽 雛3羽(雄1羽、雌2羽)

 那須どうぶつ王国  頂上山荘側ケージ3 雌親1羽 雛6羽(雄2羽、雌4羽)

3.今後の予定について

 中央アルプスにおいては定期的に(月2回程度)モニタリング調査を行い、雛の生存状況についてモニタリングを行う予定です。9月以降は雛の成長状況に応じて雛の標識を実施します。モニタリング調査は10月末もしくは11月上旬まで行う予定です。今後は捕食者対策事業についても実施を予定しています。なお、今年度のニホンザル追い払い事業についてはケージ保護事業終了とともに終了します。捕食者対策事業については7月31日から宝剣山荘、頂上山荘の2つの山小屋で開始しました。
 動物園へ導入した家族については飼育環境へ徐々に順化させていき、来年度中央アルプスへの野生復帰に向けた準備を進めていきます。動物園へ導入した個体の飼育状況については各園から適宜報告いたします。

添付資料

■ 問い合わせ先
【連絡先】
 信越自然環境事務所 野生生物課
  課長 有山 義昭、生息地保護連携専門官 小林 篤
   TEL:026-231-6573 FAX:026-235-1226  E-Mail : ATSUSHI_KOBAYASHI@env.go.jp
  (〒380-0846 長野市旭町1108 長野第一合同庁舎3階)