報道発表資料
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中央アルプス木曽駒ヶ岳ライチョウの遺伝子解析について
昭和44(1969)年以降にライチョウの目撃がなく絶滅したとされる中央アルプス木曽駒ヶ岳において、平成30年7月20日に一般登山者により撮影されました。これを受けて8月に専門家による調査を実施し、採取した羽毛等の遺伝子解析の結果、北アルプス又は乗鞍岳から飛来した個体であることがわかりました。 |
(詳細は添付の報道発表資料をご覧下さい)
1.遺伝子解析の結果
解析者:西海 功氏 国立科学博物館 動物研究部(ライチョウ保護増殖検討委員)
羽毛等から抽出したミトコンドリアDNA及びマイクロサテライトDNAの解析から、北アルプス又は乗鞍岳からの個体と判明しました。
(1)ミトコンドリア(mt)DNAの解析
羽毛サンプルからmtDNAの配列を読み、LmAk1と名付けられた配列と一致しました。LmAk1はニホンライチョウの祖先種である火打山の個体が持つDNAで、南アルプスで優占するハプロタイプ(系統)ですが、北アルプスや乗鞍岳でもいくらか見つかっているハプロタイプです。ただ、御嶽山では見つかっていません。
(2)マイクロサテライト解析
マイクロサテライトDNAの解析によって、南アルプス集団、頚城山系集団とは異なり北アルプス・乗鞍・御嶽集団に由来することがわかりました。
2.今後について
当調査結果は、第18回ライチョウ会議新潟妙高大会ワークショップ会議(10月20日)にて発表予定です。また、中央アルプスでのライチョウ目撃情報を引き続き収集するとともに、ライチョウ保護増殖検討会(座長:帯広畜産大学名誉教授 藤巻裕蔵)で専門家の意見を聞きながら、環境省及び長野県等でライチョウ保全に資する対策を検討していきます。
3.8月に実施した中央アルプス木曽駒ヶ岳ライチョウ専門家調査の概要
調査では個体は発見できなかったものの、昨年の巣と卵が発見され、雌1羽が少なくとも1年以上定着していたことがわかりました。
(1)実施内容
日 時 平成30年8月7日(火)6:00~15:00
調査場所 木曽駒ヶ岳山頂周辺
調査方法 踏査による目視調査及び痕跡調査
調査者 信州大学名誉教授 中村 浩志
信越自然環境事務所 希少生物係長 福田 真
長野県環境保全研究所専門研究員 堀田 昌伸
長野県環境部自然保護課 主任 二本松 裕太
(2)採取サンプル及び確認内容
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内容 |
1 |
通常糞1個 |
2 |
盲腸糞及び通常糞5-6個 |
3 |
羽毛及び通常糞10個 |
4 |
巣、卵2個及び卵殻2個分 |
5 |
砂浴び跡 |