報道発表資料
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採卵したライチョウの孵化及び雌雄判定の結果について
先月、乗鞍岳から採取した12個の卵について、恩賜上野動物園、富山市ファミリーパーク及び大町山岳博物館での孵化の結果等について、現在の状況をお知らせします。
1.これまでの経緯
- 環境省では(公社)日本動物園水族館協会と連携し、ライチョウの生息域外保全の取組を推進するため、産卵期として6月3日及び4日、抱卵期として6月21日に乗鞍岳からライチョウの卵を計12個採取しました。
- 6月3日及び4日に採取した卵は恩賜上野動物園に、6月21日に採取した卵は富山市ファミリーパークと大町山岳博物館へ輸送し、各施設で孵化させました。
2.孵化の結果及び現在の生育状況
①恩賜上野動物園
- 6月26日午前9時頃に1羽目が孵化し、当日午後9時頃までに合計4羽の雛が孵化。
- 孵化後、順調に体重の増加がみられており、現在までに大きな問題はない。
②富山市ファミリーパーク
- 6月28日午後3頃に1羽目が孵化し、翌29日午後7時頃までに合計4羽の雛が孵化。
- 孵化後、順調に体重の増加がみられており、現在までに大きな問題はない。
③大町山岳博物館
- 6月30日午前10時頃に1羽目が孵化し、翌7月1日午後1時半頃までに合計4羽の雛が孵化。
- 孵化後、順調に体重の増加がみられており、現在までに大きな問題はない。
3.雌雄判定の結果
多摩動物公園野生生物保全センターにおいて、孵化した12羽の卵の殻の内側に付着した組織からDNAを抽出し雌雄を判定した結果、8羽がオス、4羽がメスだったことが分かりました。
<表 各ライチョウのデータ>
卵の番号 |
巣の番号 |
飼育園 |
孵化日時 |
現在の状況 (7/12時点の体重) |
性別判定 結果 |
No.1 |
N9 |
上野 |
6月26日 午前9時頃 |
生育中 (約74.8g) |
オス |
No.2 |
6月26日 午後3時頃 |
生育中 (約65.7g) |
オス |
||
No.3 |
N2 |
6月26日 午後9時頃 |
生育中 (約77.8g) |
メス |
|
No.4 |
6月26日 午後5時頃 |
生育中 (約86.3g) |
オス |
||
No.5 |
N10 |
富山 |
6月28日 午後11時頃 |
生育中 (約77.9g) |
オス |
No.6 |
6月28日 午後3時頃 |
生育中 (約66.3g) |
メス |
||
No.7 |
N30 |
6月29日 午後7時頃 |
生育中 (約60.3g) |
オス |
|
No.8 |
6月29日 午後6時半頃 |
生育中 (約65.7g) |
オス |
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No.9 |
N39 |
大町 |
7月1日 午後1時半頃 |
生育中 (約49.6g) |
オス |
No.10 |
7月1日 午前8時頃 |
生育中 (約53.8g) |
メス |
||
No.11 |
N40 |
6月30日 午前10時頃 |
生育中 (約54.8g) |
オス |
|
No.12 |
6月30日 午前10時頃 |
生育中 (約58.5g) |
メス |
4.今後の予定
孵化した雛は引き続き恩賜上野動物園、富山市ファミリーパーク及び大町山岳博物館において、注意深く飼育、観察が続けられます。
来年以降の採卵については、孵化した雛の生育状況などをみて、環境省の設置するライチョウ保護増殖事業検討会において、必要に応じて検討します。
なお、乗鞍岳から採取した卵による人工飼育は、環境省と日本動物園水族館協会との連携により、5年間を目途にライチョウの飼育下での繁殖技術を確立させることを目的とした事業の初期段階です。
- ■ 問い合わせ先
- 環境省長野自然環境事務所(026-231-6573)
所長:中山隆治
次長(野生生物課長):伊藤勇三
自然保護官:福田真