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中部地方環境事務所

報道発表資料

2013年03月04日
  • その他

報道発表:国指定紀伊長島鳥獣保護区におけるカワウの保護管理対策の実施及び紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会の設立について

中部地方環境事務所

 国指定紀伊長島鳥獣保護区内の赤野島(あかのしま)において、近年カワウがコロニーを形成し、樹木が枯れるなどの被害が発生しており、希少種のカラスバトの生息環境を悪化させるなど同保護区の生態系が大きな影響を受けることが懸念されています。
 このため、環境省中部地方環境事務所では、紀北町、海野漁業協同組合等の協力を得て昨年11月~12月にカワウの試験捕獲を実施するとともに、再繁殖を防止するための生分解性のテープ張りを行いました。その結果、合計124羽のカワウを捕獲しました。
 今後、カワウの生息状況及び植生の変化をモニタリングしていくとともに、学識経験者、関係行政機関及び関係団体で構成する「紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会」を新たに設立し、関係者が連携して今後のカワウの保護管理対策を実施することとしました。

 カワウの保護管理対策の実施に当たっては、その生息状況や植生の荒廃状況について調査した上で、学識経験者、関係行政機関等で構成する検討会を設置し、カワウも生態系の構成要素であることを踏まえた保護管理のための計画を策定し、同計画に基づく効果的な対策を実施しています。

1.カワウによる植生荒廃の状況

 赤野島にカワウが分布し始めたのは1980年頃からと推定され、以降、島の南部において樹木が枯死するなど植生の荒廃が進行し、一部では土砂の流出が発生しています。
 近年カワウの個体数は増加傾向にあり、現状を放置した場合、さらに植生荒廃が進行し、カラスバトなどの希少な鳥類を含む鳥類の重要な生息環境の悪化が危惧されています。

樹木の枯損状況  土砂流出状況

2.赤野島におけるカワウの試験捕獲の結果

 環境省中部地方環境事務所では、今年度国指定紀伊長島鳥獣保護区内の赤野島において、空気銃によるカワウの試験捕獲を実施し、合計124羽のカワウを捕獲しました。
 紀北町、海野漁業協同組合等の御協力をいただき、カワウの繁殖地となっている赤野島の一部(図1中「排除エリア」参照。)において平成24年11月~12月にかけて合計6日間カワウの捕獲を実施しました。
 今回の捕獲により、目標としていた捕獲対象エリアにおいてカワウを排除することができました。

3.カワウの保護管理対策

 赤野島において近年新たにコロニーとして利用され始めた区域(以下、「排除エリア」という。図1参照。)において、カワウの捕獲によりコロニーの拡大を防止し、さらに排除エリアに生分解性のテープを格子状に張り巡らせることにより再繁殖の防止を図っています。その結果、現時点では新たな繁殖は確認されていません。
 また、これらの対策の効果と影響を評価するために、赤野島及びその周辺地域において、カワウの生息状況及び植生の変化を把握するためのモニタリング調査を実施します。
これらの対策を試験的に実施することにより、カワウの保護管理手法を確立し、国指定紀伊長島鳥獣保護区における鳥類の良好な生息環境の維持を図っていくこととしています。

テープ張り テープ張り

図1

4.紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会の設立

 上記のカワウの保護管理対策について、関係者の連携による効率的な対策を実施するため、「紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会」(以下「協議会」という。)を設立し、第1回目の協議会を平成25年2月25日(月)に紀北町において開催しました。
 同協議会では、カワウの適正な保護管理を行うことにより鳥獣の良好な生息環境の維持を図ることを目的とし、「紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理計画」(以下「管理計画」という。)に基づき、関係者が連携して対策を実施することを確認しました。

5.今後の取組

 今年度試験的に実施した「排除エリア」におけるカワウの捕獲及びテープ張りの対策により、カワウの排除が可能であることが確認できました。
 しかし、今後カワウが再び同地域に再繁殖することも考えられることから、来年度もモニタリング調査を継続し、再繁殖が確認された場合には再度捕獲等の対策を実施したいと考えております。
 対策の実施に当たりましては、管理計画に基づき協議会の構成員が連携した対策を実施し、対策の効果と影響を評価しながら、被害の軽減を目指したカワウの適切な保護管理を実施してまいります。

(添付資料)
・ 紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会設立趣意書・・・資料1 [PDF 78KB]
・ 紀伊長島鳥獣保護区カワウ保護管理対策連絡協議会規約・・・・・・資料2 [PDF 96KB]

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