2017年11月28日
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2017年11月28日魚大好き集団
国指定藤前干潟鳥獣保護区 吉塚藍
11月半ばを過ぎたくらいから、急にひんやりしてきた藤前干潟からこんにちは。
アクティブ・レンジャーの吉塚です。
今回は全国的にもよく見られる「カワウ」という鳥が主役です。
(群れでいることが多いカワウ。川岸で休憩中。)
カワウは魚を食べる鳥として知られており、藤前干潟にも多くの群れがやってきます。
たくさん魚を食べてしまうことから、漁業被害などがあり、実は他県ではあまり好かれていない様子のカワウですが、藤前干潟では現在、漁業が行われていないため、のんびりと過ごしています。
(以前は漁業が盛んだったそうです。)
(水に潜って魚を探すカワウたち。)
実はカワウは高度経済成長期、開発等が進み、生息環境が悪化したことで絶滅の危機にあったとされています。愛知県知多郡美浜町では、カワウの繁殖地があり、そこではカワウの糞を採取し、農業用の肥料として活用していたという経緯もあり、少なくなったカワウを保全する中で、繁殖地が「鵜の山ウ繁殖地」として天然記念物に指定されています。また、糞肥料の収益から地元の小学校も建設されたという経緯もあり、愛知県では比較的見守られている鳥です。
(魚をゲット!)
そんなカワウは、藤前干潟で巨大ウナギを丸呑みすることも!さすが名古屋にやってくるカワウです。
またカワウは水の中に潜って、羽を濡らしてしまうため、度々羽を広げて乾かしている姿も見られます。(他の水鳥のように水を弾いてしまうと潜水できないため、濡れてしまうそうです。)
(太陽の光が差すとポカポカして気持ちよさそう。)
(比較的大きな体のカワウは、そこそこ体重もありそうですが、潜ったり、飛んだりとパワフルな鳥。)
ちなみに岐阜県の長良川や愛知県の犬山市の木曽川で行われる有名な「鵜飼い」は、鵜を人が操って、鮎などの川魚を捕る伝統漁ですが、カワウではなく、ウミウを使うことが多いそうです。(似ていますが、ウミウの方が飼い慣らしやすいそうです。ややこしいですね。)
そんなカワウを個人的にはおもしろい鳥だと思って見ているのですが、つい先日、調査に向かう途中で、すごい数のカワウが川全体を利用して追い込み漁をしているのを目撃しました!
(庄内川の下流から上流に向かって、ものすごい数の群れで魚を追い込む。)
水しぶきや羽の音、鳴き声も聞こえてきて、ギョッとする迫力があり、私が見た中では、今年一番の追い込み漁でした。
カワウの追い込み漁を一度見てみたいという方はぜひ足を運んでみてください。
そして今年は、月刊誌「たくさんのふしぎ」の11月号「水辺の番人 カワウ」の中に、稲永ビジターセンター内に常設してあるセンタースタッフ特製のカワウの着ぐるみが紹介されていました。
子どもから大人まで大人気の着ぐるみなので、ぜひ稲永ビジターセンターにお越しの際は、楽しんで頂けたらと思います♪
(着てみると翼も広がり、迫力がありますよ!)
それでは藤前干潟・近日中イベントのご紹介!ご興味がある方はぜひ足をお運びください。
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<干潟観察会>
石ころ干潟のガタモンを探せ!
たくさんの生きものがいる藤前干潟の石ころ干潟で、
小さな干潟の生きもの(ガタモン)を探してみよう!
◇日時:12月3日(日)10:00~12:30
◇場所:藤前活動センター(名古屋市港区藤前2-202)
◇持ち物:帽子、タオル、水筒、筆記用具、運動靴か長靴
◇費用:大人200円、小中学生100円、幼児無料
◇定員:20名
◇問合:052-309-7260(藤前活動センター)
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毎日毎日、ごーごーと伊吹おろしの吹きすさぶ藤前干潟から、こんにちは。
アクティブ・レンジャーの西部です。
空気が澄んで、ここ藤前干潟からも鈴鹿山脈が良く見えるようになるこの季節、ちょっと寒いなぁ~と思うと、藤原岳の山頂辺りがうっすらと白くなっていたりして、冬の訪れを感じます。
そして、稲永公園ではジョウビタキやカワラヒワなども見かけるようになり、ヒドリガモの群れが稲永VC前の草地でもぐもぐと草を食べているところに出くわすと、またまた、あぁ冬だなぁと感じます。
<ヒドリガモの群れ> <カワラヒワ>
この間は、草地でこんな可愛らしいお客さまにも出会いました!
イソシギです。
干潟にいるものとばっかり思っていたイソシギなのですが、草地で餌をとることがあるんですね。地面の中から幼虫らしきものをつまんで、パクっ!寒い時期の干潟は、カニもゴカイも泥の奥深くに潜ってしまって、餌をとるのが大変なんでしょうか??
<左:イソシギ、右:嘴を拡大!幼虫みたいですね!>
さて、ようやく本題ですが、、、めっきりと冬めいてきた藤前干潟で、先日11月23日に、講演会「カヤネズミ~草地に生きる小さな哺乳類~」が開催されました。
なごや生物多様性センター(http://www.kankyo-net.city.nagoya.jp/biodiversity/)の野呂達哉氏を招いての講演会で、名古屋市におけるカヤネズミの現状についてお聞きしました。
ところで、皆さま、カヤネズミってご存知でしたか?
日本に棲むネズミの中では一番小さくて、わずかに体重7~10g程という、なんとも可愛らしいネズミで、イネ科の植物を巧みに使って球状の巣を作ることで知られています。しかしながら、最近はヨシ原や水田などが減ってきていることから、数を減らしているのではないかと心配されている生きものの一つでもあります。
藤前干潟に流れ込む庄内川沿いの河川敷には生息しているとのことですが、なぜか、下流部の港区に入ると確認が難しいそうで、原因ははっきりとはわからないとのこと。塩水であることや、潮の満ち引きによるヨシ原の浸水時間なども影響していそうですね。
私はこれまで、渡り鳥やカニやトビハゼなど干潟の生きもののことばかり注目してきたので、哺乳類などはあまり頭にありませんでした。けれど、「藤前干潟鳥獣保護区」と一口に言っても、海域、干潟、河川、河川敷などの陸域、と様々な環境が合わさって成立している自然環境なんですよね。まだまだ知らないことばかり。
もっと視野を広げなければっ!などと思った日でもあり、今回のテーマは、私にとっても勉強になる講演会でした。
でも、ちょっとお子さま方には難しかったかな?
参加いただいた皆様、ありがとうございました!
藤前干潟にある藤前活動センター、稲永ビジターセンターでは、藤前干潟を通じて様々な環境や生きものについて学べるプログラムを行っています。今週末には、今年度最後のプログラムが予定されていますので、興味のある方はご参加ください。
このほかにも、まだまだ藤前干潟に関するイベントがありますよ。
●藤前干潟ふれあい事業 藤前干潟サイエンスカフェ
「フクロエビ類ってなぁに?~ヨコエビをはじめとする小型甲殻類の暮らし~」
東海大学の田中克彦先生を招いて、フクロエビ類ってなぁに??というお話をお聞きします!
エビ?いやいやエビではないんです!
藤前干潟で良く見られるのはヨコエビの仲間たちなのですが、ちらっとお聞きしたところでは、ダイオウグソクムシとか、フナムシとか・・・みーんなフクロエビ類、なんだとか?!
ちょっと興味がわいてきたのではありませんか?
フクロエビ類ってなんぞや?
皆さま、ぜひぜひ、ご参加ください!
講 師:田中 克彦氏(東海大学海洋学部講師)
日 時:平成30年1月20日(土) 14:00~15:30
場 所:稲永ビジターセンター(名古屋市港区野跡4-11-2)
対 象:一般
定 員:20名
参加費:無料
申込み:メール、はがき、FAXで申込
締切日:平成30年1月14日(日)必着
申込・問合せ先:
環境省名古屋自然保護官事務所
TEL:052-389-2877 FAX:052-389-2878
メール:WB-NAGOYA@env.go.jp
●レンジャー写真展2017 in 名古屋
帰って来たレンジャー写真展!
今年度、最後の写真展は、日ごろから藤前干潟の普及啓発にご協力いただいているイオンスタイル名古屋茶屋店さんで行いますので、ぜひ皆さまご来場ください。
期間中には、1日だけのワークショップも実施します。
詳細については、現在、いろいろと打合せ中ですので、また近くなりましたらご連絡いたします。
日 時:平成30年1月17日(水)-1月30日(水)
場 所:イオンスタイル名古屋茶屋店
入場料:無料
問合せ:環境省 名古屋自然保護官事務所
TEL:052-389-2877