2017年7月20日
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2017年07月20日干潟の泥の住人たちと夏休みイベント!
国指定藤前干潟鳥獣保護区 吉塚藍
ここ最近、懐かしいシギチドリ類がまた見られるようになってきました。
梅雨明けし、これから暑くなる季節なのですが、秋のシギチドリ類の渡りが始まったと言っても良さそうです。おかえりなさい、今年はたくさん来てくれるかな?これからが楽しみな藤前干潟からこんにちは。
アクティブ・レンジャーの吉塚です。
今回は、私たちアクティブ・レンジャーが藤前干潟の生きものの動向を把握するため、毎月行っている、底生生物の定点調査をご紹介します!
調査の方法はズバリ、泥の中に棲んでいる生きものの種類と数をカウントする!というシンプルなものでありますが、毎月一度大潮の日、または前後の日に、3つの地点で、同じ深さだけ泥を採取して生きもののデータを蓄積しています。毎月調査を行っていくことによって、生きものの種類や数が変化する季節の傾向を知ることができたり、3つの地点の土壌の違いでそれぞれの生きものにとっての棲みやすい環境の変化を学ぶ材料になっています。
ちなみに3つの地点それぞれの泥の採取場所というのは、とても離れている訳ではなく、上の写真の干潟の中にあり、土壌の性質は異なるものの、それぞれの地点は数メートルずつしか離れていません。
↑具体的な調査位置の写真です。
時々、干潟の散策や観察に訪れた方に「何やってんの?」と声をかけられることもあります。
このように枠を囲って、同じ分量の泥を採取し、網に泥を入れてすぐ側にある海水で濾します。濾した後、網の中に残った小石や砂利などの中から、生きものを探してカウントを行います。(対象が小さいため、この作業がなかなか骨の折れる作業でして・・・今の時期のように暑い日や冬の寒い日などは特に・・・でも定点調査なのでどんな天候の時でも続けていかなければ意味がありませんっ!)
例年、夏の暑い時期には泥の中の生きものの個体数が減少する傾向にあるようですが、今回の7月の調査では全個体数が107個体となり、今年すでに終えている5月の480個体、6月の230個体の調査結果と比べると、やはり例年と同じように減少していました。(5月の調査に比べると4分の1ですね!)
3地点それぞれの生きものをトレイに移して、それぞれの種類と数をカウントした写真です。
全体的に生きものの個体数が少ないので、少しわかりにくいかもしれませんが、場所によって生息する生きものの種類が違うのを感じられますでしょうか?
泥は泥でも足がハマっちゃうようなドロドロ~っとした泥もあれば、砂利が少し入った砂地、泥と砂地の中間の感触がある泥などがあり、庄内川の左岸側では、狭い範囲の干潟であっても、泥の性質が違っています。調査をしてみると、場所によって棲む生きものたちもこのように違っているんだなぁと気付きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー●St.Aは岸寄りの砂地で、カワザンショウガイの仲間などがよく見られる地点で、今回も見られました。(写真で見ると小さな粒の様な巻き貝です。)
●St.Bは海寄りの少し歩きづらいドロっとした泥で、今回はゴカイやウミナナフシなどが多く見られました。(写真の中に見える細長い生きものです。)
●St.CはAとBの中間のような感触の泥で、今回はカニの子どもとソトオリガイが多く見られました。
(写真では左上にカニの子ども、右下にソトオリガイが寄っています。)
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また、調査内容については、稲永ビジターセンターや藤前活動センターのスタッフたちとも共有し、何が原因で増えているのか?減っているのか?などを話し合ったりしています。原因についてはまだまだ分からないことが多いですが、データを蓄積して、長いスパンで経年変化を見ることにより、生きものたちが極端に増加したり、減少することがあった時には、干潟環境への異変を解析するデータとすることができるかもしれません。
もちろん、調査後の生きものたちは元の場所に返してあげます。
来月も暑い日になりそうですが、どう変化していくでしょうか。
熱中症や日焼けに注意しながらの大変な調査でもありますが、干潟の健康診断を行う上での毎月とても楽しみな業務となっています。
話は変わりますが・・・!
そんな春夏秋冬で生きものの変化を楽しめる藤前干潟で、夏休みのイベントを開催します♪
■干潟を音であそぼ~貝殻やヨシで打楽器つくり~
貝殻やヨシで打楽器をつくり、干潟の水・風・生きものの音を奏でましょう♪
日時:平成29年8月22日(火)午前10時から12時まで
講師:本多"taco-bow"正典さん(パーカッショニスト)
場所:稲永ビジターセンター(名古屋市港区野跡4-11-2)
あおなみ線「野跡」駅または市バス「野跡駅」バス停下車徒歩15分
料金:無料
対象:小学生1~3年生(保護者同伴)、20名(応募者多数の場合は抽選)
申込:メール、はがき、FAXにて名古屋自然保護官事務所まで
〒455-0845 名古屋市港区野跡4-11-2 稲永ビジターセンター内
TEL 052-389-2877 FAX 052-389-2878
Eメール WB-NAGOYA@env.go.jp
締切:8月12日(土)
ぜひ藤前干潟で楽しい夏休みのひとときを一緒に過ごしませんか?
講師の演奏もお楽しみに!
今日、長野自然環境事務所でこんなものを見せてもらいました。
ジャジャーーーーン!!!特定外来生物の虫の標本です!!!
左上から順番にヒアリ、アカカミアリ、アルゼンチンアリ、
セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ、ツマアカスズメバチ・コガタスズメバチ(在来)です。
ヒアリを拡大すると・・・実物は意外と小さい(どちらもヒアリです)!
ひとつの集団に大小様々なサイズが混在していることがヒアリの特徴のようです。
ちなみに、ツマアカスズメバチやコガタスズメバチと大きさを比較すると・・・
う~んやっぱり小さいですね。こんなサイズでも強い毒をもっていると思うと恐ろしいですね。
ヒアリについて詳しいことを知りたい方は、こちらに詳細が書かれています。
○ストップ・ザ・ヒアリ
http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf
○これまでのヒアリに関する諸情報(まとめ)
http://www.env.go.jp/press/104305.html
○特定外来生物同定マニュアル(見分け方一覧)
ヒアリは「クモ・サソリ類・昆虫類」に記載があります。
http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual.html
○外来生物についてのHP
http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html